血煙銭湯

毎週(あるいは隔週)日曜に更新します

デッドマキシマム16話の裏話など

何度かとりあげさせていただいている、浅田隆宏さんのHOOOKでついに作家募集が始まった。
これ自体は歓迎するべき事案だったのだが、いざその内容を見て検討するにつれ、
危惧していた不安がチラホラ覗いている。
先行投資のシステムで安定した製作費の供給はできるかもしれないけど、
果たしてこれで自由な創作が保障できるのか、まだ始まってないので何とも言えないが
ちと微妙な雰囲気がある。逆にマンガハックとかは自由度高いからさー…。
この辺に関しては来週、次回作の構想なども含めて話すことにしよう。

近況としては先日、BOOTHで僕の同人誌を買っていただいた方が、
BOOST(いわゆる上乗せ支払い)で信じられない額を上乗せしていただき、
まこと恐悦至極にございまする。
まだFANBOXが始まって間もないですが、他の支援者の方々も含め、
この場を借りましてお礼申し上げる次第です。
でも僕はエロ業界にも「お前の漫画はエロ漫画ちゃう」と受け入れてもらえなかった男なので、
そっちをメインにするのは難しいかなあというのが現状なのでございます。

さてそのメインであるところのデッドマキシマムの16話の裏話を今回はしていくのでござる。
本作を閉じると決意した際、もっともそのしわ寄せを受けたのがこの16話である。
デッドマキシマム16_003

なにしろ本来はもう少し時間をかけて説明していくつもりだった伏線や背景を
ほぼこの一話で消化しなければならないからだ。ネームも普段の1.5倍時間がかかった。
本当は中州編のあとで何回か平常回をはさんでフランク邸へ突入する回をもうけ
そこでグリム、キルシュ、ソフィーを交えて話させるつもりだったのだが、
中州編に入っても、こう…いまひとつ人気が昇ってこない。
だから中州ですべての因果を収束し物語を閉じることにしたのだ。

みなまで言うな。良しにつけ悪しきにつけ全ての原因は把握している。
このままでは僕も立ちいかないし、
校正やデザインをしてもらってるマンガハックさんにも申し訳ない。
本宮ひろし先生いわく「ウケてこそマンガ」でなければならないのだ。
──という反省はここまでにして本題に戻ろう。

ジャックの再度の変貌は計画どおりだが、その「飢え」が異様な方向へ走り始めるのは
こうした収束に向けての助走にあたる。詳しいことは最後まで言うことができない。
ソフィーとヴクブの戦いは、互いに高い防御力と腕力がぶつかる泥沼の様相になる予定だったが、
上記したジャックの動きによって中断という形に収めた。
構想では一話分つかって、ソフィーが明山の拳石を利用し、伝説にあるヴクブの弱点を突く
という展開もあったのだが、終了を決意してダラダラすべきではないと涙を飲んだ。

フランクによる「人間原理」を含めた世界観は、我ながらいささか強引だったと思うし、
フォロワーにもツイッターで「無茶過ぎない?」とつぶやかれたような気がするが、
その通りなので反論はない。
ただ、本来このくだりは民俗学的な見地からの解説も絡める予定だった。
インド神話にプルシャという群体神がおり、これが人間の性質によく似ていて、
人間が神であるというオカルト視点からの論理補強もあったのだ。
しかし話数もページもないし、何より解説回でダラダラすると読む方も眠くなってしまう
(¦3[_____]
ので、ここは反論も言い合いもなく押し進めた。
話相手を頭のいいソフィーだけにしたのは
グリムやキルシュがいると「それってどういうことなん?」という
質問合戦になってなかなか話が進まないという理由もあったのだ。

一方でテンプル騎士団を起点とした唯一神=悪魔という説は、
これはDEUCE時代から温めていた論理で、
これをやるためにデッドマキシマムをやったと言っても過言ではない。
元々、DEUCEの敵としてカニバリズム教団というのを設定した時、
その大ボスとしてアルテミス、アポロン、トール、スサノオを持って来たが、
さらに彼らのヘッドとして「森の王」という起源確かならぬ古い精霊を据えたのがはじまり。
この森の王という精霊のバックボーンがいまいちつかめず、
いろいろ調べているうちに突き当たったのがイスカンダル・ズルカルナインという名前だった。
実際のところ、森の王とズルカルナインに関連性はない。
しかし「二本の角を持つ王」という特徴に、
カナンやメソポタミア、シュメール神話の王との共通性を見出し、
ここから唯一神=二本角=バフォメットというネタが生まれたのである。
実際唯一神がやってることと、悪魔がやってることにあんまり違いはない。
神は「悪魔は騙してくるから気をつけろよ」と言っているが、
ならばその神の正体が悪魔で、人間をだましていないという保証もないのだ。
誰かがこれをネタにする前に、僕がやっておきたい、やっておかねば。
そして今回ようやくこれを世に出すことができて余は満足じゃ。

その後の解説もいささか強引だったかもしれないが、
第二話に登場したソフィーの兄にあたる怪物(寄生悪魔)は、もともと中州編で再登場させ
「あれはいったいなんなんだー」という伏線にするつもりだった。
量子力学の観測行為は人の無意識な認識に基づく、という理論をもとに
「希望よりも恐怖や不安が人間の本能に近いので、善なる超存在は生まれ得ない」
なんて話は「えらい悲観的なことを言う作者だなあ」と思われるかもしれない。
僕もそう思ったけど、でも最近ある本を読んでこの理論もアリだなと。

人は死んだあと、天国と地獄に振り分けられるというのは多くの宗教の世界観だけど、
実はどこの宗教も、地獄はあれだけ濃厚に苦痛と恐怖を描いている反面、
天国に関してはとても描写が薄いのだ。
「待てい、キリスト・ユダヤ教の天国は、何層にもわけられてて詳しい設定があるぞ」
という向きもあろうが、あれはあくまで天使の労働区域の説明であって、
死後の人間の扱いを解説するものじゃあない。

ではなんで天国の内容が薄いのかというと、それはあらゆる苦しみがないから。
暑さ寒さもない、不安もない、恐怖もない、痛みもない、欲望からも解放される。
死なないから子孫も必要ない。性欲すら無くなる。
となれば当たり前だが本も映画も劇もゲームも無いだろう。
それはストレスを与え、不安を生み出す要因でもあるからだ。
まあ神をたたえる音楽くらいはあるかもしれない。
あと神様がいつもそばで見守ってる。やったねたえちゃん!

さて、これは本当に幸せなんだろうか?
これって完全管理のディストピアと何が違う?
全てが満たされているというのは、すべてが失われると道義でもある。
人間は、苦痛からの解放によって幸せを感じられるようにできているのだ。
つまり天国とは「無」という別種の地獄の様相ともいえる。

…たぶん、死後の世界について考えるよう任された人は、この点に気づいてたんじゃないかな。
ダンテの神曲もあれだけ地獄編をダラダラさまよってるのに、
天国に到達したらホヘッと終わってしまうのはそのせいだと思う。

──おっと、これはあくまで僕の所感だ。
人間原理で善なる超存在が生まれない理由の裏付けになるかもしれないが、
僕の考えが強すぎるので、本編の論理にも解説にも加えることはしなかった。
神話宗教を調べすぎるとこうなるので、信仰心のある人は見習ってはいけないよ。

こうした人間原理を絡めた科学理論を立ててしまうと、
序盤で扱っていた幽霊とか魂の存在も崩れてしまうのではとお思いだろうが、
これには天然のエクトプラズムの介在によって成立するという設定があった。
人体そのものがエクトプラズムの材料らしいというのは科学的な調査結果があるのよね。
まあ、これもページ数の都合で省略せざるを得なかった_(:3 」∠)_


さて、フランクと悪魔たちの目的が判明したところで残すは2回。
「最大限の死」とメインタイトルも回収したし、
ややこしい裏設定をこねくりまわすのはこの16話だけなので、
あとはグリムとキルシュの活躍に焦点を絞って終息していく予定。
富野アニメ的な絶望感が匂ってるけど、なんとかするので暗いラストが嫌な人も安心してほしい。

~今週の映画~
今回は「イクスティンクション地球奪還」の感想。

ネットフリックス限定配信映画である。

公開されている予告では、あまりきな臭いシーンがないため、
結局どういう映画なのか判然としないが、宣伝用の一枚絵では
バーンと宇宙人みたいな奴が映っているので、
タイトルにもあるしSF侵略映画なのは間違いない。
あらすじを追おう。

ある工場の保守点検要員として働くピーターは、毎日謎の悪夢に苦しめられていた。
夜空から光る何かが降りてきて、市民たちを大虐殺、自分も逃げまどうという内容だ。
都市計画に携わる妻アリスは、多忙なピーターに娘たちと過ごす時間を割いてと願う一方、
ピーターの精神状態も心配して医者にかかるよううながす。
一度は病院に行くピーターだが、夢が何か大事な事実を教えているような気がして
結局医者に診てもらわずに帰ってきてしまう。そんな夫を責めるアリス。
アリスが隣人たちとのつきあいで開いたホームパーティでも、夢が影響して精細を欠くピーター。
パーティーが終わるのも上の空で、ベランダの望遠鏡から夜空を眺めていると
空から無数の光が降りてきて、住宅街を無差別に攻撃し始めた。
あの夢は正夢だったのか? 
突然降りかかってきた危機に、ピーターは自分が点検している頑丈な工場を思い出し、
そこへ向かって家族を引き連れた逃走劇を開始した。

予告だけでは判然としない内容だったが、結論から言うと「当たり」の映画である。
始まって間もなくしてピーターとその家族には奇妙な違和感がある。
どう見てもインド・アラブ系のピーターと白人のアリスなのに、
娘二人にまったくその血筋の面影がないのだ。
いや、そこはフィクションなのに当然なのでは?
ごもっとも。
しかしアリスが参加する都市計画会議が明らかに現代を凌駕するハイテクだったり、
家族の違和感を含め、終盤にババンと明らかになるどんでん返しの伏線が、
しっかり序盤から貼られているのは巧妙につきる。
このどんでん返しがこの映画最大の肝であり見どころなので、
一言たりとも漏らせないのがもどかしい。

侵略映画ということで、ドンパチがあるのは予想できると思うが、
HGウェルズの「宇宙戦争」のような決着がついたりはしないことだけは、
まあ話してもいいと思う。
これはそういう決着を求める話じゃあないからだ。
「どうなってしまうのだあ…でももしかすると」という雰囲気をにおわせて終わる。
意味深いどんでん返しがすべての肝であるため、これはこれでいいのだ(バカボンパパ)。

しかしまったくもって手放しで褒めるというわけにもいくまい。
宇宙戦争でもそうだったけど、主人公には守るべき家族がいて、
この家族の下の娘がとにかくよけいな行動をするのだ。
「いい加減にせえよお前」と言いたくなるいわゆるピンチ製造機。
でもそれのおかげで話が回っている面もあるので、
こやつめガハハと笑って許すべきなのかもしれん。

ようじょだし。

スタートレックディスカバリーとITそれが見えたら終わりの感想

久々に「マッドマックス怒りのデスロード」の本編見ちゃったら
ゲームの「マッドマックス」もやりたくなり、
これも久々にニューゲームでやりなおしてみたら、
カメラが魚眼視界で安定性が低く(挙動がふらふらする)
少し3D酔いしてしまった。
僕は3Dにけっこう強い方だと思ってたんだけど、
歳のせいか、ゲームの方が悪いのか。
映画「ハードコアヘンリー」もクライマックスが悪ければ
吐いてたかもしれん…。

さて先々週の末~先週の冒頭にかけて北海道を悩ませた猛暑も
金曜くらいにはだいぶ収まって、昼夜で寒暖の差が出始めている。
夜に冷え込むの、まだ早くないっすかね…。
いつもなら九月くらいまで薄着でも平気だったりするんだが。
しかし猛暑がきつかったせいか、土曜日ごろになってどっと気だるさが押し寄せて
なかなかペンが重かった。
残る2話分となったデッドマキシマムはネームも出来上がって順調だが
「燃えよペン」じゃないけどこういうスケジュールには
だいたい人間の体調は計算されていないので、予定通りに仕上がるかは分からないのである。
まあ何にしろ、一番苦しかった16話が脱稿し、
17、18話で何をどう描くべきかはもう決まっているので
描くものに迷いがないのは楽な限り。
そろそろ、そのすぐあとに描こうと考えている漫画の行方が気になっている人もいようが、
こっちはまだキャラデザインが出そろってない。
一部、エロ同人で出した漫画のキャラの流用になっているが、
その他はすべて刷新、しかも多数に及ぶうえにモンスターやロボットも必要なので、
そっちの方で「ああでもないこうでもない」と手間取っている。
しばらくロボットとかデザインしてなかったからね。

えー…ここのところ海の物とも山の物ともしれぬ自分の漫画の話ばっかりしてるんで
今日はちょっと趣向を変えて最近見てるドラマの話でもしよう。
つってもネトフリ配信のドラマですが。
以前同様に「マインドハンター」のお話をしたが、
今回は「スタートレック・ディスカバリー」の感想(まだ全部見てないけど)

僕は超がつくほどのファンでもないが、けっこうなトレッキーで
シリーズの多くを視聴、JJエイブラムスによるリブートも見た(ほんで不満だった)。
ネットフリックスに加入したのは、デビルマンの完全アニメ化という垂涎のネタもあったが、
このディスカバリーも理由の一部だった。

JJエイブラムスによる初代シリーズのリブートは
初代シリーズからの歴史改変が著しかったりして見るに堪えなく、
ホンマモンのファンからも評価が真っ二つに割れ、
リブートの2や3もあまり話題にならなかったようだ。
(特に2がひどかったという。僕は見てない)
そのせいか、久々のテレビシリーズとなったディスカバリーは
オリジナルシリーズと同じ世界線で、初代の10年ほど前の物語という売りで始まったのだが、
ビジュアル様式やデザインをリブート版に寄せたため、
オリジナルシリーズをよく知る我々にとっては何とも違和感のある第一話だった。

両親を失い、バルカン人サレク(スポックの実父)に育てられた
地球人女性マイケル・バーナムは宇宙艦隊の士官となり、
宇宙艦シェンジョウの優秀な副艦長として活躍していた。
惑星連邦の領域のはずれで異常を検知したシェンジョウは
そこでクリンゴン帝国の艦艇と遭遇し、一触即発の状態となる。
マイケルは精神的なつながりを持つサレクに指示あおぎ、
あえて先制攻撃を行い、戦闘民族であるクリンゴンの尊敬を得ることで
戦争を回避するべしとの助言を得るが、これをマイケルが進言しても
クリンゴンとのつきあいが短い地球人艦長はリスクを恐れて受け入れない。
(この艦長は有能なのだが、地球人の常識として考えれば
「先制攻撃で戦争を防げる」とかなかなか理解できないわなあ…)
やむをえずマイケルは艦長を気絶させ、副長として先制攻撃を指示しようとするが、
あっさり意識を取り戻した艦長によって拘束されてしまう。
結局、クリンゴン帝国との戦争を止めることはできなかったうえ、
シェンジョウの艦長は死亡、マイケルはクリンゴンの英雄を殺す手柄こそあげたが、
彼女の独断が戦争を引き起こしたと判断され、宇宙艦隊初の反逆者として終身刑に処されてしまう。
それから6か月後、囚人として別の強制労働所に移送されていたマイケルは
突然、ある宇宙艦隊の新鋭艦に収容される。
USSディスカバリー。それは戦争の行方を握る、宇宙艦隊の実験艦であった。

というのが3話冒頭までのあらすじ。
プロローグにしては2話分とか長くない? と思うかもしれないが、
「新スタートレック(TNG)」までのシリーズだと、第一話は2時間くらいの特番で始まるので
長さとしてはだいたいいつも通りだと思う。
ただまあ、僕が加入から最近までなかなか入り込めなかったのは、
JJエイブラムスのリブート版を意識した映像表現や、
どこか呑気な、いつものスタートレック的ノリがなかったせい。
3話からはいつものノリをちょっとだけ取り戻してくれる
マイケルの善き理解者ティリー(巨乳なぽっちゃりさん)も登場し、
ディスカバリーに隠された本格SFらしい設定も出てきてようやくハマれた。

従来シリーズより大がかりなセットやCG、1話完結ではないストーリーの都合上、
1シーズン1クールという短さではあるが、いかなる場所へも一瞬でワープできる
ディスカバリーのマイセリウム胞子ドライブは、スタートレックシリーズの
「何者かが同一の生命起源を銀河のあちこちにバラ撒いた」
という裏設定を補強するもののように思え、ファンとして胸が高鳴った。
一方でクリンゴン帝国がこの時代から遮蔽(完全ステルス)技術を持っていたり、
「過去作との設定面は配慮した」という公式発言とはちぐはぐな印象も否めない。
クリンゴンの遮蔽技術は、ロミュランと同盟を結んだ際に譲渡された技術で、
この時代より後のことなんだが…。

でも1シーズンだからと練りこんだであろう、
初の連続ストーリーとなるシナリオは見ごたえが高く、
無駄な伏線が何一つない(まだ途中だけど)のはお見事。
90年代にはメイク技術の問題から
「外見が人間から離れすぎるとコメディリリーフになってしまう」
と言われた異星人キャラもあまり違和感がない。

というわけで設定考証に問題はあるけど、
ドラマとしては非常に見ごたえがあるオススメの作品なのだが、
やはり前提としてある程度初代シリーズへの理解が必要となる。
(劇中で何の説明もなく、唐突にスポックとかの話出てくるんだもん)
これは日本で言うとガンダムと同じで、どうしても偉大な初代を絡めた方が人を呼べるので、
どんどんその周りばかりを掘り下げてしまう現象だ。
ガンダムは一年戦争周りを掘りつくしたので、今は逆シャアの周りばかり掘ってるけど…。
スタートレックで言えば映画の「X」以降、アルファ宇宙域はどうなったのか、
ガンダムで言えば「V」の前後はどうなってるのかとかも気になるわけで、
双方の制作陣にはそのあたりも、もっと気にかけてほしいなあ(チラッ)
と日々思っているのである。

~今週の映画~
今回は「IT それが見えたら終わり」の感想

ブログの映像貼り付けに16:9があったことに今頃気づき(わしはあほなの?)
ちょっと試しに貼ってみた。
さて、本作はスティーヴン・キングの有名すぎる傑作のひとつ
「IT」の再映像化である。
下水道からジョージィに沼ジャンルをお勧めするペニー・ワイズとしてなじみ深いが、
その映像は確かテレビ用特番として製作されたもののはずで、
今wikiを調べたら確かにその通りだった。
187分あり、日本でも前後編として放送された。
この「IT それが見えたら終わり」はあれだけ有名な作品なのに、
なんと劇場用としては初の映像化なのである。

今更説明するまでもない有名な作品だが、いちおう説明しておくと
「ペニー・ワイズ」という名前のおっさんピエロな怪物が、
子供ばかり狙って次々超常現象を起こして殺害を重ねていく。
それに気づいた主人公たちの子供グループが、
勇気を振り絞ってペニー・ワイズに立ち向かうという
スティーヴン・キングの「いつものホラー」と「いつものスタンドバイミー」が
合体したような作品だ。
よく知らない人のために言いますと、キングはだいたい
「田舎が舞台」
「主人公はいじめられっ子」
「主人公は小説家」
「性格の悪い奴(いじめっ子)がだいたいひどい目を見る」
という要素でできていて、その多くが傑作になっているという特徴がある。
代表作だけどホラーにならない「スタンドバイミー」は
むしろキングにとっては異端の作品なのだ。
藤子不二雄先生だってドラえもんやパーマンやオバQ、怪物くんはどれも似たような状況だし
どんな作家にも黄金と呼ぶべきワンパターンが存在すると思えば、
ワンパターンをさげすむ人も見方が変わってくるのではなかろうか。
だから僕がおねショタ的な人間関係から始めていくのも許されるのである(自己弁護)。

さてこのITが原作に沿っている限り、超有名な冒頭の紙ボートシーンは避けられないのだが、
前の映像化版があまりにも傑作すぎたせいか、差別化のために少々冗長な会話になっているのは
ほんのちょっと残念。
本当にほんのちょっとだ。それ以外はゴア度マシマシになっていて
ホラーファンのテンションを早々に高めてくれた。
もちろん原作がある以上、おおむねの展開は以前と同じ。
ただ以前の映像化ではあまり描かれなかった何人かの背景が掘り下げられている。
一方で、本来あるべき「10数年後の主人公たち」のシーンが全くない。
ITは少年時代と中年時代を前後しながら語られる物語である。
が、両方を描くとなるとそれこそテレビ版の187分のように膨大な時間が必要となる。
そこで少年編だけを切り取って映画化したのだろう。
これは実に良い判断だと思う。
なにしろ中年編のラストは…ラストに出てくるITの正体がアレでしたからね…。

実のところ、このくらいの子供たちを題材とするホラーは難しい。
架空とはいえ「幼い子供たちが残酷な目に合うのは苦情が来る」
なんていう判断は結構昔からあって、旧ITでも控えめな表現であったと思う。
でも本作は冒頭のジョージィを惨殺しちゃうのも大胆だったけど、
その後はあまり直接的な残酷シーンも犠牲者も少なく、
それでいて上質な恐怖を描いているなど、原作の力もあるだろうが
「MAMA」で悪霊の異質な躍動を描いたムスキエティ監督の演出力が光っている。
冒頭の会話以外は褒めるところしかない久々に見事なホラー映画を見させていただいた。

…と思ったら終わり際に「チャプター1」と出て驚愕。
中年編もやるのか! 
あの散々言われたオリジナルのラスボスをどう表現するのか
きっとうまくやってくれるに違いないと期待は高い。

ところで先週ツイッターをにぎわせていた、
主人公の少年グループたちが水泳する場面。
太っちょのベンくんが見事な陥没乳首をしていて、
少年たちの会話がまるで耳に入らなかった。


誰か責任とって。

先日のイラストの裏話とかよもやま話

先週は寒暖差が極端だの言って「寒いぜ10度台だぜ」などと北海道の寒さ自慢をしていたが、
先週末あたりから気温の高い日々が続くようになって、ここ数日30度台で苦しんでいる。
30度くらいがなんでえ、本州方面じゃ40度だぞ!
という声が聞こえそうだけど、
北海道で30度に達するなんてめったにないことなんだからね!(シェリル調)
まして田舎じゃエアコンをつけてる家庭そのものがほとんどなく、
雪国だからどの家も熱を逃がしにくい構造になっていて、
本州方面とじゃいろいろと感じ方が違うと思う。
うーん、夜になって熱が引いてくれるといいけど…。

さて、先週は月曜日から例のHOOOKを設立、運営した浅野隆宏さんが


というので注目しながら各作業を進めていた。
だが発表されたのは「HOOOKがいかにして設立されたか」
という一種のサクセスであった。
期待していた漫画関係者のうちには「は?」と目を点にした人もいたのではなかろうか。
かく言う僕もそのひとりであり、
「…えーと、それは重大発表っていうか、ただの経緯説明では…」
てっきり僕はHOOOKがどのようなところで、どのように漫画家たちの収入を保証していくのか
という具体的な説明がされるものと思っていたのだ。
その経緯説明において、浅野さん自身が「結論を先に述べないとだめだ」と言いながら、
「いや浅野さんこれ言うてることとやっとること逆やがな」などと心の中で突っ込みながら、
経緯が説明されるnoteを読んでいたが、
結局「このようにたくさんの国々の投資家から援助を受けて設立準備に入りましたよ」
という形で結ばれ「えっ、これからなん?」と唖然としたオチ
……になるのかと思いきや、どうも大本営発表は今日、日曜日夜にズレこんだらしい。

まあ、ちょっと批判気味な言い方になってしまったが、
それだけHOOOKに期待していたし、その設立経緯は本当にサクセスと言うべきもので
「この経緯をマンガにしたらええのに」などとちょっともったいなく思ってしまったからだ。
とはいえこの経緯を読むと、諸手をあげてHOOOKに賛同すると言えるかどうかは
まだちょっと微妙である。
すべての漫画家、その志望者の収入を保証するということはできないだろうし、
おそらくそこにはある種の「ふるい」があるだろう。
海外展開を視野にいれているとなると、その辺のレギュレーションは厳しいかもしれない。
中国あたりはともかく、アメリカやヨーロッパ方面はエロにうるっさいからね。
おねショタな関係で主人公まわりを転がそうとする僕なんかは
小児性愛的な問題でふるい落とされるんじゃなかろうか、という前提的な不安があるわけだ。
もしこれが「意識高い系」以外の漫画は落としていこうぜ、
てな方向へ行ってしまったら、きっとそれは名目だけは高いけど、
面白くない会社となってしまうかも……。
浅野さん自身が漫画家であるから、その辺は杞憂であると思っていたい。

──などと真面目な話はここまで、あとは先週描いたイラストのお話をしよう。
先週は個人的にいろいろ事情があったので、2人しか描くことができなかった。
僕の本題は漫画の方なんで、その辺は勘弁してくれと言うほかはない。
キャミィ01_0000

前回で味をしめたので、今回もカプコン格ゲーから題材をとった
キャミィは自分ではほとんど使わないけど、
春麗に比べると描きやすい(特徴をつかみやすい)のでけっこう描いたことがある。
アングルはできるだけやったことのないものを、と考えているので
尻を中心に上へ突き出すポーズにした。
いつもと似ているようで、違うポーズは楽なようでなかなか勉強になった。
前から見るような体勢とは性器、いわゆるおまんまんの位置が変わってくる
この辺の位置は描く機会が少ないから、感覚として得にくいものだったのだ。
塗りそのものはまあまあとして、ケツの形はうーんもうちょっと…。
なかなかこういうアングルから撮った実物写真とかないから、
参考にできるものもなくてねえ…。
たしか最初は違うポーズだったんだけど、うまく構想がまとまらなくて、
悩んでいる時間も惜しかったんで、わりと形をだしやすいこのポーズになった。
あとエロに関してはこのアングルやポーズというのが最大の苦しみで、
何をしようとも結局帰結する行動や部分が決まってしまうのが、持続していく上での難題。
エロで10年20年食っていってる漫画家の方たち、この辺本当に尊敬に値する。
エレナ001_0000

エレナはストリートファイターⅢが発表された当時からのマイキャラで、
周囲の友人らは「動きが気味悪い」「手足が長すぎる」などと敬遠していたが、
僕はそのすらりとした手足や、褐色の肌、黒人離れした容貌に
格ゲーがヘタクソながらも惹かれていた。
おっぱいアングルにしたのは、上でも話したアングルの問題もあるが、
もっとおっぱいをネタにした方がよいという練度の理由もある。
実際に、構図そのものには苦戦していないものの、おっぱいの形状や位置は何度も描き直し
どちらかというと着衣状態より、FANBOXやファンティアにあるおっぱい丸出し差分の方が
いい具合のおっぱいになっている。
これも当初は手ブラにすべきかという案もあったのだが、
そうすると手を無くした時との差分をどうやって作ったらいいのか
よく分からなくて時間的な制限もあり、なんか、ううん、なんか。
みたいな納得しきれない。
両方の絵とも背景に、荒々しくにじんだ感じの色を置いているが、
これは前回のモリガンあたりでつかんだ感触で、
たぶん僕はこういうにじみが好きなんだと思う。
性格に合っている。

しかしレース模様をつけるだけで、ほんとなんかエロくなるね。
マンガハックPerryの一周年記念イラストにも使ったけど、
買ってよかったレース素材。
えっ そのイラストに関する話はしないのかって?
これはあちらに贈ったものなんで、あそこ以外には展示しない方針なのです。

~今週の映画~
今回は「ジャドヴィル包囲戦六日間の戦い」の感想。

いわゆるネットフリックス限定配信映画。
国連の都合でコンゴ共和国の無防備な僻地へ駐屯させられた
アイルランド兵士たちの苦闘を描く実話の映画化である。

1960年、コンゴ共和国コナカ党の指導者チョンベは
共産国と手を結んでいた国の方針に反旗を翻しフランスと手を結ぶと、
コンゴの収入の半分以上を占めるカタンガの独立を宣言した。
かつての首相ルムンバを始末するなど、人権問題を揺るがす事態に国連も黙っておらず
状況に中立なインド歩兵師団やアイルランド軍を派遣。
この際、アイルランド中隊150名が駐留場所に指定されたのが
ジャドヴィルのえらく見晴らしのいい場所にある建物群である。
防壁もない、塹壕もない、食料はわずか、武器弾薬は第二次大戦中のものという劣悪な状況で、
敵は装備や練度に劣ってるかもしれないが、とにかく数だけはものすごい。
しかもフランス人傭兵を指揮官として雇っている。
「UN軍本体が謀っているラジオ局奪回作戦が無事に終わればいいが…」
という中隊長クインランの願いも空しく、
本体のインド歩兵師団は強硬手段に出て、ラジオ局の奪回に成功するが、
一般市民にも著しい被害を与えてしまう。
怒り狂ったカタンガ兵は、歴戦のフランス人傭兵の指揮のもと、
報復としてアイルランド兵たちを急襲する。
市民に被害を出した失敗を懸命に隠そうとする
(無能)指揮官のオブライエン博士は、クインランの支援要請を徹底して拒否し、
むしろ見捨てるような態度に出る。
果たして150人のアイルランド中隊たちは生き残ることができるのか。

というのがあらすじであるが、なにぶん史実なので
その気になってちゃんと調べればオチが分かってしまうという欠点はある。
しかしアイルランド兵たちが置かれる環境は過酷だし、
とにかく上層部の無能っぷりが視聴者をイラだたせてくれる。
戦術的に考えて、アイルランド兵たちの駐屯場所はまるで砦の体をなしてないし、
襲ってくださいと言わんばかりの場所に配置したところで、戦略的な効果も薄いだろう。
中隊指揮官クインランは部下思いで、戦史を愛読するなど有能なのだが
いかんせん彼を含めアイルランド兵には実戦経験がなく、
とにかく物資も人員も足りない。
敵国のまっただなかということもあり、敵は何千人という人海戦術で攻めて攻めて攻めまくる。
こんな大ピンチの時はそう、特殊部隊の投入……
などとブラックホークダウンライクにはいかない。
ああいうのが生まれてくるのはベト戦以降あたりからで、
実践経験もなく、イギリスより規模の小さいアイルランド軍では望むべくもないのだ。
それを考えると、ほんとアメリカ軍怖えな強いななどと改めて実感させてくれる。

徹底した人海戦術によって圧倒するカタンガ軍に対し、
弾薬も食料も医薬品も尽きたアイルランド兵は、クインラン中隊長はどのような決断を下すのか。
それは直接見て確かめてほしい。

先日のダンケルクがあんまりドンパチしない戦争映画だったもんで、
本作の限界ギリギリまで粘るようなアイルランド兵たちの戦いは
久々に戦争映画らしい戦争映画を見させていただきましたわん。
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