【概要】
ZOZO社長のお年玉について

「これは贈与税の対象で他に贈与がなけりゃ基礎控除額の110万円以下ですので
 税金はかかりません」
「一時所得になるかと考えられますね。計算方法は必要経費と50万円を引いて~…」
等々、色々断定的に書かれている方がいらっしゃるようですが、少し結論を急ぎすぎ
なんじゃないかなと個人的に感じます。



理由をざっくり言うと

1.【所得税になる】自分の収入に対してかかってくる税金の対象になるのか、
  (この100万円は一時所得であると考えて事業所得や給与所得その他諸々と
   合算されて所得税を計算するパターン)

2.【贈与税になる】もらったものに対してかかってくる税金の対象になるのか、
  (この100万円は贈与であると考えて贈与税の課税対象として贈与税を計算
   するパターン)

上記の2パターンのどちらになるのかで計算方法及び税額が変わってくるのですが
この境目が割と微妙であると考えられる。ということが挙げられます。


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【考察】
詳細な理由についてはこの100万円の当選金について
「一時所得だよ派」と「贈与税だよ派」に二分して意見を出してみました。

「一時所得だよ派」
・550万分の100という確率は非常に低い当選確率であり、確実性がないことから
 年始の慣行としてのお年玉と考えるより、くじや懸賞に類似した性質ではないか
・顔も知らない不特定多数他人へ現金を渡す行為は、富裕層への富の集中を防ぐ目的
 もある相続税法のそもそもの趣旨から外れること
 (贈与税は相続税のとりっぱぐれ防止用の補完税として相続税法で規定されている)
 贈与税の課税目的は、相続税を補完するために課される。その理由は、
 相続や遺贈によって財産を取得した場合には相続税が課されるところ、被相続人が
 その生前に子供等へ自らの財産を贈与した場合には課税がなされないとすると、
 租税回避を誘発し、税負担の衡平を維持できなくなる為である。
 よって、生前に行われる財産の贈与についても課税することで、相続税を補完して
 いる(この一文はWikipedia情報ですが「贈与税は相続税の補完税」であることは
 財務省のホームページで明示されています)
 (逆に今回の100名の当選者が前澤氏の養子となるのであれば贈与税の課税対象と
  なっても問題ないけども)
・前澤氏は現役の会社社長でツイート内容から察しても「ZOZOTOWN新春セールが~」
 と呟いており、仮にこれを自腹で支払うとしてもZOZOや自己のブランディングの
 ため、ビジネスの延長にあると受け取れる
・事実、リツイート数の世界記録を更新してZOZOのことなど全く知らない世界の人
 からも注目されることとなっていることは想像に難くない
・抽選の条件としてリツイートとアカウントのフォローを要求している、従って
 民法549条に掲げる「無償」の条件から外れるのではないか
・所通34-1(1)に掲げる懸賞の賞金品に該当するのではないか
・従って当該行為により現金100万円を取得した者は一時所得として取り扱うこと
 が妥当である。



「贈与税だよ派」
・贈与者本人がお年玉と名言しており、正月にお年玉をあげるという慣行に従った
 行為から得られる金銭は所得として考えにくいのではないか
・一時所得の具体例として所通34-1(5)があるが、今回の行為は個人からの贈与で
 あり、法人からの贈与には該当しないものであること
・前後のツイートから応募者の夢を応援する旨の記述があり、その行為に何の見返り
 を求めるものではなく、また、フォローリツイートはいつでも誰でも何の対価も
 なしにで出来るので民法549「無償」の条件から外れない
・相続税基本通達21の3-9では年末年始の贈答については社会通念上相当な額として
 認められるものは贈与税が非課税である旨が明記されている
 今回のケースでは社会通念上相当な額(例:お年玉の平均は〇万円〇〇調べ)
 を大幅に超えるので贈与税の非課税には該当しないものの、年末年始の贈答に
 ついては贈与であるという意味の裏返しであると考えられること
・従って当該行為は贈与であり、現金100万円取得した者は前澤社長から個人贈与を
 受けたものとして当該金額を贈与税の課税価格に参入して計算するのが妥当である。



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【まとめ】
とりあえず挙げられるだけ挙げてみましたが、両者ともにそれなりに無茶は言って
いないんじゃないかなと個人的に思います。

租税制度はそもそも富の再分配という社会的役割も担っており、今回の行為は資産家
である前澤氏からのお年玉という形で現金が引き渡され、富の再分配そのものがなされ
ていることから当該行為に対して何が何でも税を課してやると言うのはやや横暴かな
と個人的に思います。(受け取る側が前澤氏を超える金持ちなら知らんけど)

よって納税者有利の考え方に従って、納税者の状況に応じて
・例えば他の所得税の課税所得が0円、他の贈与税の課税価格が1,000万円だったら
 一時所得として計算、
・他の所得税の課税所得が1,000万円、他の贈与税の課税価格が0円だったら贈与税の
 課税価格に算入して計算、
といった具合に納税者にとって有利な手段を選択して申告することになるのでは
ないかと個人的に思いますが、実際どうなんでしょうかね?

…が、逆を言ったら納税者が不利な方になる理論にも一理あるわけで、
課税当局側はとりあえず課税する方向でポジショントークしてくると想定されます。
・例えば他の所得税の課税所得が1,000万円、他の贈与税の課税価格が0円だったら
 一時所得として計算、
・他の所得税の課税所得が0円、他の贈与税の課税価格が1,000万円なら贈与税の
 課税価格に算入して計算、
という具合です。

なので、もしこういった事態になったら双方の主張を予測した上でしっかり理論武装を
して相手方に論破されないよう、論理的に反論していけるようにすれば良いかと
思います。
これ下手したら「贈与だと思ったら一時所得になりますって言われて税額増えた上に
合計所得金額が扶養控除の範囲を超えちゃった(泣)」なんてこともありえますから。


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【結論】
しらんがな。わしも100万円欲しかったわ(笑)
(このイベントに気がついたのは今朝になってからでした)


大金ですが1億円でこんな宣伝になるとかすごいですね。世界一ですよ世界一!
ツイートを知りつつもフォロー&リツイートしていない人も沢山いるようですし、
インプレッション数とか軽く1,000万を超えているのではないでしょうか?

これだけ話題になったことで朝の情報番組なんかでも取り上げられるだろうし、
結局この件ではテレビ局に1円も落とさずに地上波で社名顔写真付きで放送されて…

今まではこれだけの人数の注目を浴びようとしたら電通やら博報堂やらにお金出して
お願いしていましたが、その前提を覆すようなお金の使い方(しかも効果絶大!)
をされちゃったわけだから

これから広告屋さんは存続を懸けて「これはtwitterの規約違反だ!」とか
「このような節操のないお金のバラマキは~…」とか前澤社長に批判的な意見を
主張する人達(わざわざ役者を用意しなくても俳優やら芸人やらでもこう主張して
いる人は沢山いるかと思います)を不自然にならない程度にフォーカスして自分達が
汚れ役になることなく「みんなで前澤社長を批判してもいいんじゃね?」という
雰囲気作りをしていく…などなど、この流れに抵抗をしていくのではないかなと思います。



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【参考】
所得税法34条
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、
山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた
所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を
有しないものをいう。

所得税基本通達
34-1
次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(5) 法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に
    受けるものを除く。)

相続税基本通達
21の3-9
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、
法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者
との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税
しないことに取り扱うものとする。

民法549条
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が
受諾をすることによって、その効力を生ずる。