(まったく、今日はなんて日だ・・・!)

鬼灯は怒りを込めて、提出された決算書に判子を押す。普段の鬼灯の力ならば、机が壊れて床についてしまうほどの力を発揮するのに、今はただ、いらずらに書類をゆがませるだけだった。

今日だけで一体何人に犯されただろうか。
一日に連続して告白されて、違う部署で二度抱かれることはままるが、こんなに狙いすましたように、無茶苦茶な人数で犯されたことはない。
それに、鬼神の剛力は封じられ、さらに迫られれば誰の手でも愛撫を気持ちよく感じてしまう身体になってしまっている。

獄卒たちは、それを見透かしているかのように鬼灯に群がり、責めにかかってくる。

鬼神の剛力は封じられているが、体力と体の丈夫さはそのままらしく、何度犯されても鬼灯は少し休めば仕事に支障がないほどに身体を回復させられるが、心に受けるダメージは大きかった。
いくら時折身体を許しているといっても、こんな風に無理矢理犯されることなどほとんどなかった。
犯しに来る輩は鬼神の剛力で吹き飛ばし、身体を許した相手にも、出すぎた真似をされれば遠慮なくふっとばした。
しかし、今回はそれができない。
今日鬼灯を凌辱した者たちの顔は、すべて覚えている。
鬼神の力が戻れば、すぐさま制裁に行こう。そう恨みに思いながら、鬼灯は事務的に書類をさばく作業をこなしていた。


何時間たっただろうか、鬼灯が気づいたころには夜の11時を回っていた。

(もうこんな時間ですか・・・)

しかし、昼間予期せぬ邪魔が何度も入り、今日の仕事分の書類はこなせていない。
今夜も徹夜か、とため息をつくと、鬼灯は再び机に目線を戻したが、執務室のドアをノックするものがいた。

「どうぞ」

鬼灯がそう声をかけると、細身の獄卒がドアを開けて入ってきた。

「鬼灯様、新しい入浴施設ができたので、ご確認お願いいたします」

「入浴施設?」

そう言われて、鬼灯は思い出した。
獄卒たちの使う公衆浴場をさらに快適に過ごせるように、新しいジェットバスやミストサウナを作る許可を出したのだった。
完成が今日だとは知らなかったが、別に自分がわざわざ確認に行くこともないだろう、と思ったものの、今日一日でひどく汚された体を洗浄するのは願ってもないことだと気づいたので、鬼灯は了承した。

「わかりました。半までには終わらせますので、公衆浴場先に行っておいてください」

わかりました、と細身の獄卒は返答し、その場を後にした。
去り際に、意味ありげな笑みを浮かべていたことなど、書類に集中する鬼灯には見えるはずもなかった。