羞恥の瞬間を目撃されたという衝撃以前に、鬼灯はなぜドアが開かれたのかという疑問がすぐに浮かんだ。

(なぜ、どうして?そうだ、鍵・・・・!)

自慰をすることで頭がいっぱいで、鍵をかけたかどうか思い出そうとするが、鍵をかけた記憶はなかった。
長く閉じっぱなしの個室から妙な声が時折上がっては、外の人物が怪しむのも必然だろう。
鍵をかけ忘れた己を悔恨し、その直後、はしたない場面を見られた事に対する激しい羞恥がこみあげてきた。
こんな格好では、どんな言い逃れも通用しない。

「あっ・・・こ、これは・・・」

なんとか鬼灯が言い繕うとしどろもどろになっている内に、ドアを開けた屈強な体躯の獄卒は笑みを浮かべ、自らの着物の腰帯をほどくと、鬼灯の口に巻いて、素早くさるぐつわをかけた。

「んん!んっ!んんっ!」

予想外の獄卒の行動に、鬼灯は戸惑いながらも現状を把握しようと必死に頭脳を回転させる。
さるぐつわの紐を後頭部で交差させ、そのまま余った長い紐でやすやすと両手首を後ろ手に縛ってしまう。
こういう職場についている獄卒なのか、相手の拘束の仕方はいやに手際がよかった。
さらに便器の給水栓に余りを巻き付け、鬼灯の動きを完全に封じてしまう。
開いていた足をとっさに閉じようとしたが、獄卒の両足が間に入り込み、閉じることもできない。
鬼灯は相手を睨んだが、極めかけていた瞬間を割って入られたところであったせいか、眼力はなく、代わりに上目遣いの涙を浮かべた蠱惑的な瞳があるだけだった。

獄卒は後ろ手でドアに鍵をかけ、開かれた鬼灯の身体に迫る。

「んんっ!んっ!んんんっ!」

首を左右に振り、拘束を振り払おうと鬼灯は両腕に力を込めたが、いつもの鬼神の力ならともかく、各段に下がってしまった今の筋力では、ただいたずらに紐を引っ張るだけだった。

「・・・さわぐと、バレますよ・・・」

鬼灯の耳元でごく小さく囁き、獄卒が笑みを浮かべる。

(なんだこいつっ・・・私に、何をする気だ・・・!)

訝しむ鬼灯をよそに、獄卒はしゃがみこんで片手を鬼灯の白い大腿に食い込ませ、片方は鬼灯自身に添えた。

「んんんっ!んんっ!」

自分で触るのと違い、予想外の角度からの刺激に身体が跳ね上がる。そのまま上下に擦り立てられ、鬼灯はビクビクと、何度も体を縦に震わせ、快感に慄いた。
人の手でされるということがこれほど気持ちが良いと思ったことはない。一擦りごとに泣き出しそうなほどの快感が自身を走り、首の後ろにゾクゾクとした感覚が連続して起こる。

しかし獄卒は感じすぎて身悶えている鬼灯に構わず、擦る手を速め、どんどん快楽の水位を上げてゆく。

「んん、んっ!んんんんっ!」

鬼灯の両足に力が入り、わずかに痙攣する。激しい快感に全身が反応するが、擦られるたびにクチュクチュと鳴る水音が恥ずかしくて、鬼灯は快感で紅くなった顔をさらに紅らめてゆく。
さるぐつわをされ、拘束されていなければ、暴れ狂って大声で喘いでいただろう。
身体から甘い汗がこぼれ、周囲に発情した香りが立ち込めてきた。自身で感じる快感に全身を震わせ、白檀と蓮の花がまじりあった香りが立ち込める。

獄卒はただ遮二無二上下へ擦るのではなく、下から上へ擦りあげるときは、頂点のくびれで手首を左右にねじるように回して感じさせ、上から下へ擦り下ろすときは裏筋を強く圧迫しながら感じさせる。
それを繰り返していた獄卒は、鬼灯の反応を見ながらどこがよく感じるのか、を観察し、ますます鬼灯の性感帯を激しく責め立てた。

「んーーーーっ!っ!っ!っ!ぅんんっ・・・!」

先端を掌で包まれ、ぐるぐると円を描くように擦られると、目の前がチカチカするほどの快感が襲ってくる。
獄卒の手は鬼灯の淫液で濡れ光り、どれほどの快感を感じてるのかが見て取れる。ただ一度射精するだけだというのに、鬼灯は性感神経を削られるほどの愉悦を感じ、あまりの快感に戸惑いを覚え混乱し、涙を浮かべて首を左右に振り続ける。

その暴れる顎を取られ、獄卒に唇を舐められる。

「んんっ!んっ!んん!」

ここでも鬼灯は奇妙な快楽を覚えた。自分を凌辱している男に唇を舐められるなど、嫌悪そのものの行為だというのに、唇が強い性感帯になったかのように情欲を感じるのだ。

(唇がっ・・・どうしてこんなに感じるんだ?)

鬼灯は戸惑うが、当てられた快楽は本物で、すぐに抗う気持ちが萎え、身体の芯からさらなる快感が欲しくて激しい疼きに襲われる。