唾棄すべき男たちの目の前で醜態をさらしてしまった羞恥心に、鬼灯は枕に横顔をうずめて男たちの視線から逃れる様に努力するが、その仕草さえ可愛らしく、彼らの情欲を掻き立てる材料になってしまう。

「可愛いねえ、加々知くん・・・この子は本当にアタリだったよ・・・」

「見た目は綺麗だけれど、正直私たちの遊びについてこれるか心配だったんだ。だけど、思った以上に期待に応えてくれそうだね」

口ぐちに鬼灯を賛辞する男たちの声をうっとおしいと思いながら、鬼灯は叶えられないだろう言葉を無意識にしていた。

「はぁ・・・はぁ・・・も・・・解放してください・・・」

身体中に力も入らず、潮吹き絶頂した直後で思考もまともに働かない状態で、鬼灯は屈辱的ながら男たちに懇願する。
しかし、これほどの上物を目の前にして、男たちが解放などするはずがない。

「ダメだよ、加々知くん。これからもっともっと遊ぶんだからね・・・」

「未知の快感を教え込んであげるよ」

そう言うと、一人の男が鬼灯の視界から消え、なにやら鞄の中をガチャガチャと弄っている音が聞こえる。

「おお、これを持ってきたんですか」

「調教用に最適ですね、これは相当きもちいいですから」

「こちらはどうかな?加々知くんなら大丈夫かな?」

男たちが群がって何やらいかがわしい道具を手に、談笑している様を、鬼灯は冷めた目で睥睨していた。

(下らない道具を使ってくる気ですね・・・)

手馴れた様子の男たちに鬼灯は彼らが常習犯だということには気付いていた。
しかし、若い女子社員をさらおうものならまだしも、自分のような成年男子を拘束して性的に弄ぶとは、つくづく変態趣味が極まった男たちだ。
おおよそ女遊びをしすぎて面白味がなくなり、男に回ったか、もとから男色の気がある者同士が集まったのか、今の鬼灯にとってはどうでもよいことではあるが。

鬼灯は知るまいが、彼らは魅力的な人物ならば男女問わずこの饗宴に強制参加させている。つまり、あの場で最も色香を放って抜きんでいたのは鬼灯だったというだけで、このような人物がいる会社に派遣された鬼灯は運がなかったというところだろうか。

「これ以上、私に何かしてきたら訴えますよ・・・いい加減にしてください」

これまでされたことだけでも十分訴訟ものだと思いながら、鬼灯は男たちを脅しにかかる。
しかし、彼らはニヤけた笑顔を崩さず、楽しそうに言った。

「訴えてもいいけど?ちなみに、男が被害者の強姦罪は認められてないんだよ」

「くっ・・・傷害罪として立件します・・・」

「じゃ、なんて言って警察に訴えるの?男たちに輪姦されましたって泣きつくの?君は裁判に耐えられるかねえ?」

もっともな男の言い分に、鬼灯は悔しさを唇ににじませた。

(だったらとっとと終わらせろ・・・即・地獄へ堕としてさしあげますっ)

「君、まだ反抗的だね。しょうがないから、あのハーブを使うか」

そう言って鬼灯を牽制し、男は鞄から再び怪しげな瓶を取り出し、中の乾燥した植物を取り出し、ライターの火であぶり始めた。

「うーん、この香はいつ嗅いでも興奮しますな」

「セックスでは最強レベルですからね。気を付けないと、嗅いだ瞬間昏倒してしまう子もいますが、まあ・・・加々知くんなら大丈夫だろう」

そう鷹を括って。男は鬼灯の口と鼻を若干熱い布で一気に包み込んだ。

「んぐっ!んんっ!んっ!んんんっ!」

必死に首を振って布から逃れようとするが、鼻孔から侵入してきた甘く土臭い香が肺に蔓延すると、鬼灯の眩暈はさらに激しい物と成り、体中の感覚が覚醒したかのように敏感になってしまった。

「はっ・・・ぐっ・・・うぅ・・・」

ようやく口を布から解放され、鬼灯は息を吸い込んだが、薬品の効果はすでに発揮されているらしく、すでに鬼灯の身体を浸食し始めていた。

「さあ、効き具合はどうかな?」

そう言われて胸の突起を爪で引っかかれ、途端に快感電流が弾ける。

「あぁっ!」

思わず出てしまった声に気付き、すぐに口を引き締めたが、連続して爪弾かれてどんどん内にたまってゆく快楽に声が出そうになってしまう。
それは甘く陶酔を含んだ危険な感覚で、鬼灯はこれまで生きてきてなんども味わわされた快楽の始まりを予感して、焦燥感を募らせた。

(まさか、現世の人間にここまで追い詰められる・・・?)

鬼灯の身体は全身性感帯に等しくなり、身体にかろうじて着させられている上半身のシャツが擦れただけで、身体が反射的に痙攣してしまう。

「あー、効いているね」

「これが極まれば、スタンガンなんて無粋なものを使う必要なんてなくなるよ。さあ、快楽まみれにしてあげるからね・・・」

そう言われて滑らかな鬼灯の頬を男の興奮した舌がはい回ったが、その感覚さえも首筋にまでゾクゾクと愉悦が走り、鬼灯は矜持を持ち続けようと必死に耐えた。