「みんな最初はそう言うんだよね。でも、だんだん「もっと」って言ってくるんだよ。君は感じやすいから、じきにそうなると思うよ」

(誰が、そんなことになるかっ・・・!)

しかし心では反抗しながらも、身体は与えられる刺激に従順で、快感を送り続けられている自身からは悦波がとまらない。
しかも、やろうと思えば一気に鬼灯を絶頂させることができるであろうに、男は長く快感を感じさせるために、わざとゆるゆると上下に手を動かす。
認めたくないが、ローションでヌルつく手で擦られる刺激は別格の愉悦だった。

「んっ・・・ぐっ・・・」

鬼灯の息遣いが荒くなり、頬どころか短髪で露見した耳までも紅く染め、鬼灯が身もだえする。

おそらく今まで捕まえてきた中でも最上級クラスの見目麗しい青年が、自分たちの愛撫で感じている様は、男たちの優越感を十分に満たす。
仕事中も彼のプロポーションと美貌に惹かれてあらぬ妄想を浮かべていた人物が、今、目の前で美しく悶えている様は、日ごろのギャップと重なって異常に興奮を掻き立ててくる情景だった。

「気持ちいいだろ?加々知くん・・・」

鬼灯自身を弄んでいる男が訪ねるが、鬼灯は返答しない。声をあげれば、喘ぎに変わってしまうと懸念して、悔しいが反抗の言葉をはけないのだ。

「しかし本当に綺麗な身体だ・・・。真っ白で、染みひとつなくて、この下腹部から下半身にかけてのラインなんて、絶妙だよ・・・。早くお尻を拝みたいものだね」

「横田さんのお話では、ズボン越しでもわかる張りのよさだとか。これからそこも責められるのかと思うと、楽しみでなりません」

(し、尻も責める気かっ!)

自身に与えられる快感に耐えながら、男たちの会話の不穏さに鬼灯は本気で焦り始めていた。
人間の身体になったとはいえ、胆力は常人とは比べ物にならないほど強いし、筋力にも自信はあった。
なにより、こんな下劣な人間どもの姦計にかかるとは思いもよらず、何故自分が標的に、という疑問も湧き上がらせながら無防備だった自分を悔いた。

薬物の効果はまだ継続中で、それどころかどんどん効果があがってきているような気がする。
人間になるための薬と相性がよかったのか、相乗効果で余計に感度があがっているのかもしれない。
身体中を雁字搦めにされ、理性も半分奪われ、鬼灯は的確に言って絶体絶命の状態だった。

鬼灯が思考をめぐらせている間にも、男の擦る手は止まらない。性感は否が応にもあがり、どんどん絶頂へと無理矢理ひきあげられてゆく。

(こ、こんな下劣な男の手にかかって・・・!)

自分よりはるかに年下で、下劣な人間によって嬲られる行為は、鬼灯の矜持を揺さぶらせていた。

しかし、ヌルヌルとした感触と手馴れた指使いに翻弄され、鬼灯の息は上がり、いよいよ絶頂の時が迫ってくる。

(んんっ・・・いけない、極めてしまうっ・・・我慢が、できない・・・!)

くびれを重点的に擦られ、鈴口を激しく擦られた瞬間、快楽が決壊し、鬼灯は男たちの目の前でありえない失態をおかしてしまった。

「んんっ、んんっ!」

鬼灯自身から勢いよく白液が迸り、白い下腹を濡らしてゆく。

「おお、出ましたね!」

「イキましたよ、身体中がビクビクとして、よほど気持ちよかったんでしょうな」

「精子は緑色ではなかったようですが?」

そう言って、男たちは再び爆笑するが、萎えた鬼灯自身を擦る手は止まらない。
絶頂した直後で極めて敏感になっている器官を、尚も激しく責められるのは辛い。

「あぁっ・・・や、止めてください・・・!」

しかし鬼灯自身は再び力を取戻し、男の愛撫に応えてしまう。

「ほらほら、今度は手加減なしだよ、思いっきりイキなさい」

さきほどの長く快楽を引き伸ばす感じさせ方ではなく、一気に絶頂へ持ってゆく手さばきに、鬼灯は鋭ささえ感じる快感に身体中をくねらせ、足指をヒクつかせた。

(うっ・・・くる、また、イク・・・!)

「あっ・・・あぁぁああ!」

目が眩むような瞬間が訪れ、気が付けば達していたという、手品のような絶頂だった。
しかし、鬼灯は自らがとりかえしのつかない失態を犯してしまったことを、未だ気付いていない。

「おお、精液ではなく、透明の液がでましたよ?小便ですか?」

「これは潮吹きですよ。射精よりも激しい快感を味わえる絶頂です」

「潮吹きができるのは、女だけだと思っていましたが・・・」

「いやいや、男でも、イッたあとでさらに刺激を加えると、ごくまれに潮を吹く子がいるんですよ。でも、そういう子にはなかなか巡り会えません」

「それでは、その場に立ち会えた我らはラッキーということですね!いやあ、どこまでも興奮させる子だ・・・」

潮吹きの絶頂で頭が妄とかすむ鬼灯の耳に、男たちの悦びの声が遠くで聞こえる。
目隠しを外され、現れた鬼灯の瞳には光がなく、昼間のような鋭い眼光はなりを潜め、弱弱しく、被虐の色香に満ちていた。
長い睫毛には水滴が縁取り、切れ長の瞳には涙が浮かんでいる。
その表情を見て、男たちが一斉に生唾を飲んだのを、鬼灯は気付けなかった。

「恥ずかしいね、みんなに隠れた秘密を暴かれちゃって・・・」

普段は髪で隠れている耳を舐められながら囁かれ、鬼灯は自分の状況を未だ把握できていなかった。

鬼の身体で快感を受けるのには慣れているが、人間の身体で過剰な快感を受けるのには慣れていない。
人の身体がこんなに脆いとは想像外だった。もともと快感を受け止めやすい鬼灯の身体の感度を助長している危険性に、鬼灯はようやく気付き始めていた。