こうひー 著

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「いや・・・いやぁっ!!」
「ふふっ、必死になっちゃって、カワイイ♪
さ、覚悟しなさい!」

ぶうううううう~~~~~~~~~~~~っ!





もう何度目になるでしょうか。
村長の娘、羊のウルルは、スカンク娘たちに誘拐され、どこかも分からない薄暗い部屋に監禁されていました。
それだけならまだしも、身代金の支払いが無いと言って、スカンク娘たちは一定時間ごとに、ウルルの鼻先に強烈なオナラを吹きかけてきました。
どんな猛獣も裸足で逃げ出すという強烈極まりない、悪臭オナラガス・・・。
ましてや、か弱い少女にすぎないウルルは一発嗅がされるごとに七転八倒し、意識を失ってしまうのでした。

何度目かの失神から目覚めたウルルは、ゆっくり身体を起こすと、おびえきった目で部屋の入り口を見つめていました。
ウルルがどんなに参っていても、スカンク娘たちはガス責めを止めませんでした。
酷いときには、目覚めてはじめに視界に入ったものが、スカンク娘の大きなお尻だったりしました。
あの扉が開いたら、また臭~いオナラを嗅がされて・・・
ウルルに出来るのは、扉が開かないことを祈る事だけでした。

カチャ・・・。
祈りも虚しく扉は開かれ、一人のスカンク娘が入ってきました。
またオナラを嗅がされる!!
ウルルは全てを拒絶するかのように、部屋の隅で震えていました。

「ねぇ、食事・・・」
遠慮がちに掛けられた声に、ウルルはビクビクしながら顔を上げました。
そこにいたスカンク娘は、ほかの娘たちとは違い、まだあどけなさを残していました。
齢のころはウルルと同じか、少し上くらいでしょうか。
簡単なパンとスープを載せたトレイを持って、ウルルを見下ろしていました。

「あ、いけない!鍵!」
不意に彼女が踵を返したので、ウルルの目の前をスカンク特有のふわふわした尻尾が横切りました。
続いてウルルの視界を満たしたものは、体格の割りに大きめなお尻――

「きゃあぁぁっ!!」
咄嗟に飛びのいたウルルは、壁に張り付くようにしてイヤイヤと首を振りました。
それほどに、スカンクのオナラの臭さ、ガス責めへの恐怖心というものが心に刷り込まれていました。

扉を閉じて戻ってきたスカンク娘は、そんなウルルにトレイを差し出して優しく微笑みました。
「大丈夫、怖がらなくていいよ」


スカンクの少女は、エスクゥと名乗りました。
食欲が無いと突っぱねるウルルに対して、大丈夫、そのうち帰れるよと励まし続けるエスクゥに、いつしかウルルも心を許しつつありました。
他のスカンク娘たちからの無常な仕打ちが、かえってエスクゥの印象をよくしていたのかもしれません。
エスクゥを話し相手にして、ウルルは色々な事を話していました。
家族の事、幼い弟の事・・・・・・。
ウルルはしばしの間、状況を忘れて気を楽にすることが出来ました。


ふと不思議に思ったウルルは、エスクゥに尋ねました。
「でもどうして、エスクゥちゃんは私によくしてくれるの?」
「ん?うん・・・」
エスクゥは、決まり悪そうに答えました。




「タイミングを計ってたの。食べてすぐだと、戻しちゃいそうだし・・・」




エスクゥはそういうと急に立ち上がり、お尻をウルルの鼻先に突き出しました。
「え・・・?・・・・・・!!い、いや・・・・」
きょとんとしていたウルルですが、状況を察すると、エスクゥのお尻から後ずさりしました。
「ごめんなさい、私の番なんだ・・・」
エスクゥはお尻を突き出したままウルルに迫り、ついに部屋の隅に追い詰めました。
逃げ場の無いウルルの目の前に、大きなお尻が迫ります。
震えるウルルの手を掴み、鼻を押さえられなくすると、お尻を更に突き出してウルルの視界を塞ぎました。
「いや・・・やめて!やめてよぉ!!」
ウルルは力なく首を振るばかりです。ガスへの恐れと、安心しきっていた所への突然の仕打ちによるショックとで、
それ以上の抵抗は出来ませんでした。

「ごめんね。いくよ、ウルルちゃん!」
ウルルの目の前に迫ったエスクゥのお尻の谷間の、最も深い部分が蠢動しました。


ぶぅっ!


「はうぅぅっ!!」


たったひと吹きで、鼻が曲がりそうなニオイに包まれ、ウルルは悶えました。
涙でかすむ視線の先では、あの恐ろしい噴火口が息づいているに違いありません。
「はぁっ・・・はぁっ・・・はっ・・・はっ・・・んんっ!!」
臭さと恐怖で呼吸を乱したウルルの顔面に、無常にもエスクゥの豊満な尻肉が押し付けられ、そして――










「はい、おしまい」
「ふ・・・ふぇぇ?」
さっと身を離したエスクゥに、ウルルは拍子抜けな声を上げていました。

「これで終わりにしてあげる、内緒だよ?」
ウルルの顔を覗き込み、唇に人差し指を当てて、エスクゥは微笑みました。
「う・・・うん。でも・・・やっぱり臭いよぅ」
ウルルはエスクゥに感謝しながらも、その強烈な臭気に辟易していました。
「ふふ・・・また来るね」
エスクゥは食べ終わった食器のトレイを持って、部屋を出て行きました。





それからウルルは、エスクゥの事を考えながら、一人薄暗い部屋で過ごしていました。
誘拐犯なんかじゃなければ、友達になれたのに・・・。
エスクゥちゃんと一緒にピクニックに行ったり、綺麗なお洋服を見に行ったり。
でもたまにケンカして、ぷぅ~っってオナラされちゃったりして・・・
それは・・・イヤかも。

そのような事を考えていたため、扉が開いたとき、思わず呼びかけていました。
「エスクゥちゃん!?」

入ってきたのは、はち切れそうな肉体を持った、エスクゥとは似てもにつかぬ大柄なスカンク娘でした。
馬鹿にしたように見下ろされ、凍りつくウルルの前に、巨大なお尻が無造作に突き出されました。





爆風のようなオナラを浴びせられ、ウルルは早急に失神へと追い込まれました。
「そんなにエスク・・・良けりゃ・・・」
スカンク娘が何か言っていましたが、すぐに分からなくなりました。




目覚めたウルルは起き上がりもせず、ぼんやりと扉を見つめていました。
「早く・・・帰り・・・たい」
もう何度ガス責めと失神を繰り返したでしょうか。
もう泣き叫ぶ気力も残っていませんでした。




そのとき、不意に扉が開きました。
一瞬身体を強張らせたウルルだったが、入ってきたのがエスクゥだと分かるとその緊張は和らぎました。
それでも、今のウルルにとって、あくまでも誘拐犯の一人である彼女の来訪が、拷問の再開である可能性は捨てきれません。
「エスクゥちゃん・・・また私、オナラ嗅がされるの?」
ウルルは不安を隠そうともせずにそう聞くと、エスクゥはやさしく微笑みながら言いました。
「ウルルちゃん、よく頑張ったわね。もう我慢しなくてもいいんだよ」
「えっ?・・・」
「お頭が、もうお金は諦めるって」
「それじゃあ・・・私、帰れるのね!?」

これまでの疲弊が無かったかのように、ウルルの表情は明るくなりました。
「もう少しの辛抱だからね」
エスクゥは荒縄を手に取ると、ウルルを立たせて、攫って来た時のように後ろ手に縛りました。
あの時と違って、直に肌に触れ痛まないように、縄の下に布を挟んでいてくれました。
「エスクゥちゃん、あのね・・・」
「なぁに?」

「いろいろ、ありがとね!」

ウルルに満面の笑みでお礼を言われると、エスクゥは彼女をぎゅ~っと抱きしめました。
ウルルはちょっと驚いて、でもすぐに安心した表情に戻ると、そのまましばらく、されるがままになっていました。

エスクゥは抱擁を解くと、ウルルの顔を覗き込むようにして笑いました。
ウルルも笑いました。まるでずっと親友であったかのようでした。

「さ、目を閉じててね」
アジトがバレないようにでしょう、ウルルはその場に座らされると、目隠しをされました。
あとは連れ出されるのを待つばかりです。
ほどなく、ウルルの髪をなでるように、エスクゥのものらしき手が優しく頭に回されると、







「ふぎゅっ!?」

突然、柔らかいものがウルルの顔面に押し付けられました。
いきなりの出来事に、ウルルは顔を振って逃れようとしました。
けれども、頭を抱えるように回された手にはグッと力が篭り、それを許しませんでした。
そのとき、ウルルの鼻先に、何かヒクヒク動くものが当たりました。

(何これ・・・臭い!!
このニオイ、エスクゥちゃんの・・・
エスクゥちゃん、そんな・・・そんな・・・・・・いや・・・いやぁぁ!!)

ブブブゥウゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ!!

「んゃあうぅぅぅ~~~~~~~~~~~~!!」

無防備なウルルの鼻に、エスクゥの凶悪なオナラガスが注ぎ込まれました。
これまでのどのオナラよりも、強烈に臭くて、猛烈な勢いのガスが、ウルルの鼻腔の奥の奥まで一瞬で満ち溢れました。

「や゛っああぁ!あああ゛ぁ~~~!!」

余りの臭さに、ウルルは何も考えられなくなり、喉の奥から苦悶の声を上げながら悶え狂いました。
「・・・・・・っ!」
エスクゥは自分の尻と手の間で悶え叫ぶウルルの頭を強く掴むと、彼女のお尻へと、むぎゅうううぅぅぅっっと押し込みました。
そして意を決したように目を閉じました。



ムッスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・



エスクゥのお尻から奏でられたかすかな噴出音は、ウルルの鼻腔の中で鳴り響きました。
お尻が熱くなるのが分かりました。
両手で掴んだウルルの頭が、ガスの噴出にあわせて、ビクン、ビクンと震えました。
ウルルの顔が、鼻の中が、胸の奥が、エスクゥの温もりで満たされていきました。

「ぇ゛・・・ ぁ・・・」

ウルルの抵抗は、ほとんど無くなっていました。

エスクゥがお尻の戒めを解くと、ウルルの身体は力なく床に崩れ、黄色く変色した頭部がゴツンと床板に触れました。
エスクゥのお尻に顔を埋めながら暴れたために、目隠しは外れていました。
あらわになったウルルの両目は虚ろに見開かれ、もはや何も映っていませんでした。

「くさい・・・ くさい・・・」

ウルルは蚊の鳴くような声で呟くと、虚ろな瞳から黄ばんだ涙を一筋流して――
もう二度と動くことはありませんでした。

「さよなら、ウルルちゃん」
エスクゥはウルルの見開かれた目を、そっと閉じさせてやりました。

心の中で両親に助けを求めることもできず、
信じていた友達の仕打ちを悲しむこともできず、

ただスカンクガスの凶悪な臭気に塗り潰されるようにして、哀れな少女の命の灯火は、消えました。








「ひゅぁ゛っ・・・・・・!!」
エスクゥの、年の割りには豊満なお尻の下で滞留する黄色いガスの中、ウルルの幼い弟は絶命しました。
ベットシーツもろとも黄色くなった彼の亡骸に、エスクゥはそっと毛布をかけてやりました。

(これで寂しくないよ、ウルルちゃん・・・)

村長屋敷のあちこちで、騒ぎが起きていました。
もみ合う音。ガスを放つ噴出音。悶え苦しむ声。悲鳴――

仲間と合流するべく部屋を出る少女の表情は、歴戦の暗殺者のように冷たいものでした。




                              *おわり*