第四話:レミングス・著/挿絵



チリトがムキになったおかげで、カイトの命は逆に救われた。すっかり衰弱しきったせいで暫くの間検査の対象から外されたのだ。もちろん後ろにはナプラマージャの指示もあった。
しかしおけげで、カイトは重体のフリを続けて、充分な体力の回復を待つことができたのだ。

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「あの人間は死ななかったんだって?」

薄暗い洞窟に似た部屋の中で、不満げな声が浮かんだ。
ゴツゴツした壁面の一部が赤色に光り、血を水に薄めたようなぼやっとした光に包まれていた。
ディーバ・ルは壁から伸びた血管のような管を持ち、ラッパ状になった先端に話しかけた。

「でも死ななくて助かったのは君もでしょチリト?
ナプラマージャの奇妙なこだわりを君だって知ってるはずでしょ?」

うつぶせのディーバ・ルのヒップが、弱い光の中で揺れた。
片手で管を握ったまま、もう片方で前髪を掻き分ける仕草をした。その時ジャンボサイズの胸に半身の体重がのしかかった。
その途端、薄赤い光が床を照らす中で、ディーバ・ルの影になった部分に 苦しそうに荒げる息が聞こえる。

「ふー、」

ディーバ・ルの自慢のバストの隙間から、大岩をこじあけるかのように、筋肉の震える指が這いでた。そして若干間を置いて、少しの隙間から、人間の髪の毛が覗いた。


「ふー、ふー、」
地底から響くような呼吸に気付き、ディーバ・ルは片肘をついて体重を緩めたが、その顔に押し潰した者を思う影は少しもなかった。

「ところであの人間を捕獲した南東エリアに、まだ人間のコミュニティが残ってる話は聞いた?このところ収穫が少ないチリトなら聞き逃せない話だと思うけど?」

管の向こうから喜々とした声が聞こえる。
「あたし?あたしは別にいいよ。あなたとは違うも・・の。」
一息つくような声だった。ディーバ・ルの腰が左右に軽く振られた。

「ぅ・・」

つまるような声。
下敷きになっていた男のぺニスはディーバ・ルの太腿の間にあり、
今の動きで、腿の摩擦を受けたペニスが呼応したのだ。

ムッッチリとした怠惰な感触が続く。

「ぅ・・ぅぅ・・」
ビュビュ・・・

ディーバ・ルの腰が左右した時、部屋の明かりが太腿に反射した。そしてその光が伸長するように白い液が跳ね上がり、周りの太腿や尻に降り掛かると、潮が引くように吸い込まれていった。
ディーバ・ルは、ほんのつまみ食いをしたあと、男の顔をジッと不思議そうに覗き込み、

「・・・・どう?人間君?
私とお友達になれそう?

私?

私はあなたを見てるととってもつらい、
だって食べるの我慢しなきゃならないもの…」
舌舐めずりをしながら男に話し掛けた。
そしてすぐに醒めた表情になり、

「・・・・フン、まじに人間を飼うなんて、そんな奴の神経がわからないわ。こうして食事をする時さえ自分を随分諫めてるっていうのに、意味なく側に置いておくなんて到底私には耐えられない!」


男を飲み込むような胸を少しズラし、今の言葉に恐々とする男の顔を見て、クスっと笑う。

「でも大丈夫よ、人間は一度に搾るよりじょじょに搾った方が出る量が多い事は知ってるの、・・・うーん、でもいっぺん一度に搾ってみようか?」
悪戯っぽく笑い、首を横に振る男の表情を楽しむ。

管の向こうからはチリトの声が返事をしないディーバ・ルを探す。
ディーバ・ルの笑顔は嫌がる相手を見て楽しむ物から次第に好奇心の目に変わっていった。
「そう言えばあたし、もう何年も本気を出したことなかったわ。」
ディーバ・ルの目の変化に気付いた男の反応は激しくなった。肩から上すべてを振って否定の意志を示した。


ディーバ・ルの瞳の輝き方はかわらなかった。じょじょにバストを男の上に降ろし、盛んに暴れる首を制した。周りの弾力に力が分散される事に気付いた男は息をあげて飲み込まれながらディーバ・ルを睨むことしかできない。

「ふーん、怖くていい顔するじゃない、」

男の目はまるで親の仇のような憎悪に満ちていた。
ナイルスネイル達の性技を受けて、本能が砕けるような快感を味わってしまった者の最後の抵抗は、相手を脳の奥から憎むことである。そうすることで快感を紛らわすのだ。

ディーバ・ルはそれも承知しているかのように含み笑いをして男の頬をなぜるようなキスをした。
しかし男は蠅がついたように顔をしかめる。男は自由の利かない体に愛想を尽かすことで返って勇気が沸いたようだ。
男の気持ちを代弁するならば、
「自分は死ぬかもしれない、しかし気持ちでは決して屈しない。どこまでも抵抗してやる!」
憎しみ溢れる瞳が、徹底して目の前の女の愛撫を否定した。


ちょっとしてディーバ・ルは半身を少し上げ、男の顔は少し自由になった。

少し高い所から見下ろすディーバ・ル。あらん限りの憎悪を眼光に乗せてぶつける男。男に心の隙など無かった。
赤く滲む部屋のなかで、曲線に富んだディーバ・ルの体が大きなバストを携えて男の前にそびえ立つ。
しばらくして睨み合いを続けていた男が苦しむような声で呻いた。


やがてディーバ・ルが囁いた。

「フフフ・・どう?ちょと素敵でしょ?」

ナイルスネイルの外観は人間と同じだが機能はまったく違う。人間にはない筋肉が発達しているのだ。

「う・・ぷ、う・・ぷ」

男の口の中に、何かが強引に潜り込もうとしている。男は懸命に口を締めてそれを拒むが、じょじょに歯と歯に隙間ができてくる。

「ぐむむむ・・ぐもおお…!」
「ハハハ、あーん、もう少し、もう少しで私の乳首でお口いっぱいになるわよー♪」

ディーバ・ルが動かしていたのはなんと少し大きめな乳首だった。ピンク色のぷりぷりな乳首が男の顎の力に勝り、その唾液の中に突入した。

「ふもおお!」
「あはははは!」

ディーバ・ルの乳首が男の口の中を逆に舐め回す。柔らかくて弾力ある乳首は口のどんな隙間にも入り込み、丹念に刺激する。

「あっぷああああ!」
「あれ?おやおや…」

ディーバ・ルは溜め息をついてみせた。
男のペニスに再び力が入り始めたのを太腿の間に感じたからだ。

「むあああ!」

メキメキと音を立てて男のペニスはむっちりと締め付ける太腿の間に割り込んでいく。もう男の意思では無い。

「よかったわね?こんなにいっぱい乳首を舐めれて。嬉しいって大喜びじゃない。」

憎むことで悟りを開いたように快楽から逃れたはずだったが、体中を巡る快感のシグナルにもはや心持ちでどうこうできる状態では無かった。

「さっきみたいに睨まないの?」

ディーバ・ルは勝手に自分の太腿で脈を打ちながら、乳首で口を犯される男を、微笑して眺めた。

柔らかいピンク色の塊が唾液に濡れて輝きながら男の口をまさぐる。

「んももお!!」

太腿の締め付けに男の背筋が反り返る。

「あ~ら、素敵だこと。勝手に私の太腿をこじあけて、そのか弱い皮膚が締め付けられるのが
たまらないんでしょ?いいのよ、私にいっぱいちょうだい♪」
「んがうぅぅ!!」

こぼれそうな程に目をひんむいて、男は丸太のような太腿に埋もれた先端から、命の白液を搾り出した。
ビュビュビュビュビュビュ・・

「あー、すごい量ねー。昨日食べ尽くした人間と同じぐらい・・いえ、あなたの方が少ないかも・・。昨日の奴はもっと生きながらミイラに近い顔になってたし。 でも、もっとも表情は気持ちよさそうだったけど。」


人間をどこまでもぞんざいに扱う敵、仲間を思う気持ち、その気持ちが男に火をつけた。

ガブ!!

「!」

男は失いかけていた闘志に火をともし、目の前の憎い乳首に歯を立てた。
ガリガリガリ!!

「キャア!!」

ディーバ・ルは堪らず声をあげた。
「ああ あ!!


いい!

いいわ!!

もっと!もっと!やってぇぇぇぇ!!」



ディーバ・ルの唇から涎がこぼれ、嘲り笑った瞳は、余裕のない恍惚の表情へと変貌した。

ガコォォォ!

凄まじい破壊音が男の脳裏をつんざく。
ディーバ・ルの激情を感じ取った乳首が、その猛烈な押し込みで男の顎を破壊したのだ。


    「んが!ゴボォゥォ!」


乳首が這うなどという生易しい物ではなかった。それは男を口から引き裂かんとするほどの勢いだった。

「ああぁぁ!素敵!   お前の命は私がもらうからねー!!」

太腿がかつて見た事の無い動き、人間では不可能な振動を始め、男のペニスを下から優しい万力のような矛盾した力で押し上げる。

ムニュゥゥゥ・・・・・・・・
ムニュゥゥゥ・・・・・・・・

男の表情はすでに喜怒哀楽では判別できない物になっていた。
「あはは、・・・わからないでしょ?気持ちいいって言うべきものかどうかも。
無理も無いわ、この星のどんな技術をもってしても表現できない快楽だもの。ところが私の太腿は、こんな涼しい顔でやってのけちゃうの。」

ムニュゥゥゥ・・・・・・・・

ドバ!!!
怪しい光に包まれた小部屋の中で、女が一人伏せっている。
その女の尻の位置から、白い噴水が立ち昇った。

ドバドバドバ・・・・!!!
しばらくその噴水は止まらなかった。
女の体は、落ちてくる雫をキャッチしてその奥に生命エネルギーとして蓄える。
噴出元の男はいるはずなのだが、噴出が始まってから徐々にディーバ・ルの胸の奥に引きずり込まれていった。そしてもう外からは見えない。
ディーバ・ルは完全に噴出が止むまで動かなかったが、やがて止まると同時に立ち上がり、床に張り付いた、小さい人型の干物のような物を拾った。

「・・・・ナプラマージャ、あなたはきっと私の事が嫌いでしょうね、
でも、私もあなたのことが嫌いなの。

シ・ケーニョ様の様子を見る限り、儀式の日は近い・・・
私は負けないわよ・・・・ナプラマージャ・・・・。」

ディーバ・ルは険しい表情で虚空を睨み、儀式の日の事を想像した。
そして手に持っていた人型の干物を口にくわえると、
唇をうごめかして少しずつ口の中に飲み込んでいった。


  続く