第三話:レミングス・著/挿絵



「ナプラマージャ・・・・」
カイトを送ったナプラマージャの背後から、威厳に満ちた声がかけられた。
「シ・ケーニョ様。」
ナプラマージャはそびえ立つ自分のボスを見上げた。
「わたしはお前の貢物には特に期待しておるよ。」
一礼するナプラマージャ。
「フム、ついさっきまでお前の人間がここにいたようだが・・・」
クンクンと鼻を利かせる。人の匂いがするらしい。
「は、申し訳ありません。たった今部屋に戻したところです。」
表情を変えないナプラマージャ、シ・ケーニョは横目でそれを確認した。
「・・・・・・・お前はなんのために人を集めておるのだ?」
「は、シ・ケーニョ様の溢れる命と支配のためでございます。」
「よろしい・・・。」
シ・ケーニョは薄い笑みを浮かべてナプラマージャのアゴを人差し指ですくった。
「しかしながら、あの人間については申し上げなければならない事があります。」
アゴを向けられながら話を加えた。シ・ケーニョから笑みが消える。
「・・・・・ナプラマージャ・・・よく考えて喋りなさい。」
警告するようにシ・ケーニョは言った。それに構わぬ様子でナプラマージャは続けた。
「は、あの人間は何らかの病原菌に犯されている疑いがあります。」
「・・・・わたしにそのような物の影響があるというのか?」
「わかりません、しかし宇宙にはまだ未確認の宇宙病が存在します。どんな惑星でも用心はすべきかと。」
「で?」
シ・ケーニョは冷たくうながす。
「はい、我々のチームで現在もこの星の菌に関する研究を進めております。より確かな安全を確認するまでは、今少しお待ちください。」
ナプラマージャの表情をじっと伺って、
「フ・・・・、それではその研究とやらを進めるがいい。もっともその研究はいつ終わるか知れない、私もいつまで我慢できるかわからないがな・・・」
最後まで表情を変えなかったナプラマージャを置いて、シ・ケーニョは立ち去った。


巨大な影が消えたころ、再び背後から声がかかる。
「さすがね、ナプラマージャ。」
「覗き見とは趣味がよくないな、ディーバ・ル」

ナプラマージャと比べると少し肌の色が薄く、髪は短いパールブルーのナイルスネイルが、ゴツゴツした壁の陰から現れた。
大きく純粋な瞳の奥には、薄いブルーが光っていた。ナプラマージャより二周りも大きな胸が、歩みに合わせて悩ましく揺れる。

「あなたの行動は一つ一つ興味があるわ、シ・ケーニョ様に従順かと思えばやたら反抗的なところもある。どっちが本当のナプラマージャなのかしら?」
「ちゃかすな、ディーバ・ル。私は忙しいから失礼するぞ。」
「あの人間を食べる気?」
通り過ぎようとしたナプラマージャを遮って聞いた。
「あの人間はシ・ケーニョ様が目をつけられた。病原菌が無いことをハッキリさせたら、シ・ケーニョ様に献上する。」
「フフフフ・・・、あなたってホント嘘が下手ね。」
「なんのことだ。」
「でも、その無骨さが好きよ、あなたのその何事にも動じないお顔が。」
指先でうっすらとナプラマージャの顔を撫ぜる。
「いい加減にしろ、貴様には付き合っていられない。」
「フフフ、随分お気に入りのようね。かわいいペットといったところかしら? かわいそうにシ・ケーニョ様に目をつけられてしまって・・・・・」
「失礼するよ。」
無理やり通過するナプラマージャ。
「あきらめがつくように、シ・ケーニョ様の前に私が食べてあげる。」
どうしてもナプラマージャの気をひきたいようだ。翼をたたむように、バストを両手で挟みながら言った。
「シ・ケーニョ様が相手だと、怒るに怒れないけど私なら躊躇なく怒れるでしょ?」
「・・・・・・」
ディーバ・ルは壁にすりそって、鬱っぽくひたいを付けて上目遣いで挑発した。

あきれた表情でナプラマージャは切り返した。
「・・・私は気狂いに剣は向けない。」
ナプラマージャには再び振り返る気配は無かった。
「・・・・・・・ふん、あなたも器用な人よね。昨日までの食料が今日は愛しい玩具だなんて。」
ナプラマージャを見送るとつまらなそうに腕を後ろで組んで、ディーバ・ルは通路の暗闇に消えて行った。


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その日からカイトの地獄と天国をごちゃまぜにしたような日々が始まった。

死を予感したかと思えばほとばしる快感に狂い、そうかと思えば再び死の淵を覗く。

「く・・・狂いそうだ・・・。」
全裸でちぢこまった姿勢で、独り言を呟いた。
カイトは現在部屋を移され、小さな穴ぐらの中に閉じ込められていた。中は暗く、光がささない。
しかし数時間に一度入り口が開き、目の慣れないカイトを少しだけ苦しめる。



この日も、入り口には、ツインテールの女性のシルエットが浮かんでいる。
チリトだ・・・

カイトはここ数日繰り返されてきた拷問を振り返り、決して心が折れてしまわないよう、一息のんで強く心を張った。


「毎日毎日、お役目ご苦労だね」
立たない足腰に力を込めて、サメザメとしたまなざしのチリトに精一杯皮肉った。

入り口に仁王立ちのままチリトが応えた。
「私だって好きでやってるんじゃないもん」
「よく言うぜ、人間が美味そうなご馳走にみえるんだろう?ヨダレがでてるぜ?」
そんな挑発をチリトは無視してカイトに寄って来た。太腿から伸びる細く長い足がカイトの目線上に見える。
2、3歩でカイトに辿り着く。

チリトはカイトの病原菌の疑いを調査するために、体液の摂取役を任命されたのだ。
しかしチリトの顔は浮かなかった。

彼女達は人をイカせて命を得る。チリトにとって人をカラカラになるまでイカせることなど造作もないことだったが、先日のナプラマージャの反応から、この人間を勢いに任せて出ガラしにすることは賢くないと考えていた。
「ホントはお前なんてこの手にもう少しだけ力を込めれば骨と皮にしてやれるのにな・・。」

いつものように抵抗するカイトを押し倒して馬乗りになって呟いた。
片手でカイトの両手をガッチリ掴み、片手でカイトのペニスを包んで生めかしい手首の動きを見せていた。

この快楽に素直に従ってはならない。
いつ命を奪われても不思議ではないのだから。
それに、さっきの哀れな男もそうだが、数え切れない人間の命を奪った奴らなのだ。喜びを感じることなど、考えてみれば何と不義であろうか。

下半身に集められるテンポのよい快感。顔つきはまだ少女ではあるが、その手つきはみるだけで男に性的な興奮をもたらす。きっとペニスを握っていなくとも、この手の平の舞を見るだけで勃起してしまうだろう。

「チリトの手って綺麗でしょ?細くてスベスベでしょ?」

漏らしそうな吐息を舌を噛んで我慢した。
苦しそうな顔を、顔の筋肉を無理して普通な表情にしているカイト。

「ハハ、無理してるんだ。ほんとはチリトの手、大好きなんでしょ?近づいてキスしたいでしょ?」
「ね・・・寝言いうなよガキ。ただ近づきたいのは確かだぜ、その鶏肉みたいな手を噛み千切りたいからな。」
ざまあみろ、といった表情をしてやった。体力も気力もないがイタチ屁をしてやった。

「・・・・そう。」
ブルーの瞳が薄目になって、小さな口が笑みに歪んだ。

ニッチュウゥウゥウゥ・・・
ペニスを上からすっぽりとつぼみのように手の平が覆った。そして不自然なほどヌルっとした汗をかき、きつく握り締めた。

「はぁうわ!!」
指と指の間から逃げ場を失った空気が、汗をかきわけて吹き出る音が聞こえる。
チュウウウウゥゥゥ・・・

ば・・・ばけもの・・・
大きく仰け反りながらカイトは恐れた。

「ウソ、気持ちいいの?じゃあこれは?」
その圧迫するヌルヌルしたつぼみは、カイトの物を強引に滑りあがり、チュポンっという音とともにカイトから離れる。離れる際にカリ、亀頭部分に凄まじい快感を受けた。

「・・・・・・・・・・・」
「お?」
カイトは声を漏らさなかった。
(フーン、がんばるじゃん。)
実際には声にならなかっただけな上、立て続けの刺激に腰が動かなくなっていただけなのだ。

ドクドクドクドク・・・
「ああ!?」
チリトは慌てた。反応のないカイトから射精が始まったからだ。
「なーんだ、感じてたんじゃん。ちょっと感心してあげてたのになー。」

噴出す白濁の液体、左右に暴れる男根。それを見つめていたチリトは再び手を差し伸べた。

キュッ
再び窮屈なつぼみにカイトを収めた。
「・・・・!!!!」
ジュルルル・・・
つぼみがカイトの全体を刺激しながら走る。
「・・・・・・・!!!!」

ギュ・・・・ッポンッ!
「んあああ!!!!」
「あ、やっと声が出たね。」
「おめでとーう、おめでとーう、おめでとーう、おめでとーう・・・・♪」」
どういうつもりか、おめでとうと言う度に、カイトのペニスはつぼみに吸われ、ギュッポンッという破裂音のような音で放たれる。

ギュッポンッ・・ギュッポンッ・・・
ギュッポンッ・・・・

「おめでとーうー♪」
ギュッポンッ

動きがランダムになる。チリトの瞳は弱って死んでいく獲物を見守るライオンのように冷たい。
つぼみの運動がカイトの射精のブレーキをはずしている。ついにカイトの体が痙攣を起こした。
「んんー♪大漁である、大漁である。」
噴水のように沸き立つ射精。止まらない。チリトの手も止まらない。
「あはぁー、さいっこう。お前の今の顔、すっごい好きだよ。」
視点が定まらず、ヨダレと涙を噴出しているカイトの表情をウットリと覗いた。

(もう・・死ぬ・・・?)
カイトのかすかな脳細胞が一瞬だけ考えた。
(強がったのがよくなかったか・・・おとなしくしてればよかったのか・・・?)

「あっははははは!そういえばさっきの態度は何だったのかなー? 今のお前見てると、どうしたかったのかサッパリ意味わかんなーい!!」
これ以上ない嘲笑が大きく響いた。




「そこまでだ!!」



絶好調のチリトの手が止まった。
「ナ・・・ナプちゃん。」
入り口が開き、ナプラマージャの姿が見えた。
「チリト、どういうつもりだ?お前は研究を台無しにしたいのか?」
「ご、ごめーん。ちょっとがんばりすぎちゃったー、エヘ。」
笑顔でごまかすチリト。しかし厳しい表情のナプラマージャはごまかせない。
「さっさとサンプルを持っていけ。それだけあれば暫くは十分だ!」
「・・・え? えーー?  しばらくってぇ?」
「こいつが回復するまで暫くだ。さっさと行け。」
「んもー、どうしてナプちゃんはコイツの肩を持つわけ?」
「気に入った物は、サンプルだろうと食料だろうと大事にするもんだ。お前に私の趣味をつべこべ言われるいわれはない。 行け!」

納得いかない膨れっ面で立ち上がり、部屋を出るチリト。
カイトはここで助かったことを知り、意識を失った。

嵐が去って小さな部屋は静かになった。
ナプラマージャは腰を下ろしてカイトのペニスを握り、まだまとわりいている精液をきれいに舐め取った。
そして手についた精液を舐めとりながら部屋をでて、入り口を閉めた。


  続く