たかが小娘とみくびったか、男の大きく振りかぶった拳筋は、完全に見切られてしまっていた。
足元から崩れるようにおもいきり屈んで体をかわした少女は、その勢いのままスライディングの要領で、男のふところ深くもぐりこんだ。
そして、驚く程の素早さで反転し、巨大な柔尻を高々ともち上げると、ちょうど男の顔の辺りを狙いすまし、この時のためずっと我慢に我慢を重ねて溜め込んできた必殺の武器を、一気にぶちまけた。
無残に裂かれたレオタードの穴から覗く薄紅色の肛門から、大気を震わす重低音を響かせて放たれた一発が、その爆音に怯んだ男の顔面めがけて襲いかかった。
全ては、あっという間だった。
男はそれをまともに吸い込み、嗅いでしまった。
小柄な少女の腹中に十数日にもわたって溜め込まれ、特別な方法で限界にまで濃縮された、おならのガスを。
おならとは到底考えられない程の常軌を逸した臭さにめまいを起こし、もんどりうってドウと倒れる男。
少女はなおも、艶かしい腰つきで右に左にと尻を振り、男の全身を包みこむようにしてニオイの武器を浴びせかけ続け、やわやわと男を、自家製のガスの牢獄へと塗り込めていった。

もがいてもあがいても辺り一面に漂うガス雲の中から逃れられず、刻一刻とより強烈さを増していく屁臭に鼻を犯され続け、あまりの臭さに悶え狂って、男は、陸に打ち上げられた魚のように地面を転げ回った。
やがて男の体がはげしく痙攣しはじめると、少女は静かに男の顔の上へ腰をおろした。
すでに勝敗は決したも同然だったが、敗北を骨のズイまでわからせてやるため、トドメをさすつもりなのである。
猛烈な臭気で息がつまり、泡をふきながらゼイゼイと喉を鳴らす、虫の息の男。
無情にもその鼻先で、薄紅色のアヌスのしわが、まるで蕾から花が開く時のように、ゆっくりとふくらんでいった。
緩やかに、あくまでも緩やかに、生暖かい気体がいつの間にか、しわの隙間から音も無く漏れはじめていた。
それは、少女のたおやかな外見からは想像もつかない程おそろしく濃い、えげつないすかしっ屁だった。
少女の尻割れからあふれ出たねっとりとしたガスは、丸い尻肉の表面を煙のようにゆるゆるとつたい降りてゆき、男の顔の上へ流れ着くと、目や鼻や口全てを覆い包むように、辺り全てを舐めつくしていった。
これにはタフネスだけが売りものだったこの男も、ついにひとたまりもなかった。
たった一嗅ぎしただけで、ものの5秒ともたずに白目をむき、よだれを流し、全身をぴくぴくと痙攣させながら、とうとう男は臭さのあまり、完全に意識を失ってしまった。
呼吸がひどく乱れていて、浅い。
この調子で、先ほど少女がひり出したあの、もはやおならと呼んでよいものか迷うほど圧倒的に濃密な、毒ガスに近いすかしっ屁をあと1、2発ほども鼻先へお見舞いされれば、文字通り男の息の根は止まってしまうに違いなかった。
少女の肛門はまだ、男の顔の真上で、息づくように微かに収縮を繰り返している。
と、次の瞬間、その薄桃色の面積がくっと広がり、再び、蕾のように盛りあがりを見せ始めた。
少女の口もとに、笑みが浮かぶ。本当に、おならでトドメをさすつもりなのだ。

対決の直前、少女はこの男の手にかかって、大勢の人の前で辱めを受けていた。
男は卑劣な手段で少女のレオタードをズタズタにし、そのあられもない姿を晒し者にして言ったのだ。
てめえみてぇな小娘なんざ屁でもねぇんだよ。てめぇの友達みたく犯して殺しぬいてやるからよ、覚悟はできてんな、あぁ?
少女は怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にさせて叫んだ。何が屁でもねぇ、よ。卑怯な手を使わなきゃ女にも勝てないくせに、この人殺し!
てめえ絶対にぶち殺してやるからな。と、男。
少女は、それに応えて言った。そっちこそ覚えてなさい!屁でもないのはどっちか、はっきりさせてやるから・・・・・・!

可愛らしくふくらんだうす桃色の蕾が、男の鼻めがけてゆっくりと、ゆっくりと降下していった。
男はピクリともしない。完全に気を失ってしまっていた。
少女は、さらに腰を沈めていった。
その時。
男の鼻の先っぽが、少女の肛門のふくらみに、優しくタッチした。ぷくん、とふくらみがたわむ。
「あっ」
思わぬ快感に少女は甘い悲鳴をあげ、それまでずっと鼻をつまんでいた指が、思わずゆるんだ。
プウゥゥ
指とともにゆるんだ肛門が微かな音を立て、圧縮された臭い臭い気体を、ほんの少しだけ噴き出した。
「ん・・・っ、強烈!」
漂ってくる自分のおならで我にかえり、あわててギュッと鼻をつまみ直す少女。
突然、男の頭が震えだし、目がカッと見開かれ、ふっぎゃぁぁああああああ!!という男の悲鳴が辺りに響き渡った。
嗅がされたニオイがあまりにも臭すぎ、気絶したままでいられなくなったのだ。
涙を流し、くさいくさい、くさいぃと絶叫しながら悶える、男。
「あら、屁でもないんじゃなかったの?・・・ね?あなたなんかおならにも勝てないの」
少女が冷たくそう言い放つと、
すうぅぅぅ
再び少女の肛門からわずかに発射された生あたたかいおならが、男の顔を一舐めした。
もうやめてくれ、くさい、苦しい助けて、と叫ぼうとする男。しかしその度に臭気にむせ返り、息がつまって、大きな声にならない。

少女は意を決し、つまんだ鼻から指を離した。
暴れる男の顔を両手で挟んで押さえつけ、男の鼻めがけてまっすぐに、腰を沈めていく。
「あ・・」
再び男の鼻先が肛門をくすぐる。
しかし少女はそのまま、肛門を男の鼻に押し当て、一気に体重をかけた。
薄紅色の皺は、圧力をうけて一瞬、めいっぱい広がったかと思うと、次の瞬間、ぬるりとばかりに男の鼻を丸呑みにしてしまった。
男の顔全体をむっちりと覆った白く柔い尻肉が、ふるふると震える。
少女が軽く腹腔に力を入れると、彼女の体内でまだくすぶっていた残りの猛烈おならガスが、唯一の出口である男の鼻の穴へ殺到し始めた。
少女の口から、切なげな吐息がもれる。
男の顔は少女の尻に埋もれて見えないので、男がまだ意識を保っているのかはわからなかった。
放出が一通り終わっても、少女の尻はしばしの間、男の顔を密封し続けていた。

やがて、男の体の毛穴という毛穴から、どこかおならのニオイに似た悪臭が立ちのぼり始めた。
少女は鼻をつまむと、男の上から降り、自分の尻に埋まっていたその顔をしげしげと眺めた。
男は口をだらしなく半開きにし、目をへの字にして、笑ったような顔で死んでいた。
苦悶の影は見当たらず、酸素不足による窒息死ではない。
これは、狂い死にだった。
空気中に放たれ拡散したおならのニオイですら男にとっては限界だったのに、それほど猛烈な臭気が今度は、空気に薄められる事もなく直接、鼻の穴へと流れ込んだのである。
男が無事でいられるはずがなかった。
少女のガスが肺に充満しはじめる頃には既に、男は屁臭さに悶えて死んでいたのだ。
たかがおならとはいえ、大の男を易々と狂死に追いやるニオイの威力は、まさに毒ガスだった。
少女は、悪臭を放つ男の骸に向かって一礼し、合掌した。