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俺の家と長月一家との付き合いは長い。家が隣同士な上に、両親共に有名な格闘家という似た様な環境で育った。

俺の両親は、剣道の師範で、<理真一刀流>という有名な流派で、全国20カ所に支部があり、日本では4、5番目の大きさなのだそうだ。

当然の事ながら、俺はそのサラブレッドとして三歳から剣道を初めて高校二年の今に至るまで負けた事が無い。

「おはよ!ユウト!」と後ろから声を掛けられた。長月茜だ。


「おはようございます。ユウトさん。」と長月茜の隣で軽く会釈をした彼女は茜の妹の長月茜音だ。
二人とも漢字は違えど<アカネ>という読みは同じなので、妹の茜音は茜を「姉さん」と呼び、茜は妹を「妹」と呼ぶ。

高校に向かう途中、かなりの頻度で長月姉妹と遭遇する事が多い。まぁ、家が隣同士なので、当たり前といえば当たり前なのかもしれない。しかし、<道場破り部>に所属している長月姉妹と一緒に登校するのは少し気がひけてしまう。幼なじみの彼女達を嫌ってるわけではないが、実際に彼女達に部を潰されてしまった俺の男友達との板挟みは正直つらい。

「部活の調子どう?」と姉の茜が聞いて来た。俺は当然の事ながら、剣道部に所属している。俺の入学と同時に、俺の高校は一気に剣道有名校となったが、団体成績は決して良い成績ではない。元々お坊ちゃん学校なので、体育系は盛んではない。なぜ、そういう場所に俺も長月姉妹も身を置いているかと言うと、単に家から近いという単純な理由と、中学校の試合戦績等で、テスト無しの推薦枠で入れたというのが理由だ。

「昨日、姉さんと男子プロレス部の部長を潰してきました。」と落ち着いた雰囲気で話すのは妹の茜音の方だ。

「あいつ最後の方、必死にタップしてたよね♪<説得>にギブなんてないのに♪」嬉しそうに姉の茜は話している。

長月姉妹の両親は、母親が世界的な柔道家でオリンピックや世界大会などで数々の実績を挙げ、父親は総合格闘家だ。彼女達もまた、俺と同じ様にサラブレッドとして育てられている。

彼女達は、柔道、ブラジリアン柔術、プロレス、空手と一通りの体術は獲得しており、勿論戦績も俺と同じ様に負け無しであった。

姉の茜が入学した時、彼女は柔道部に入った。俺は彼女に誘われたけど、高校で剣道部に入る事が高校側から義務と出されていたので、俺に部活を選ぶ選択権はなかった。

彼女が、柔道部に入ると聞いた時、嫌な予感がしたが、やはりその予感は的中した。

彼女は入部早々、高校三年生の男子部長を三角締めで絞め落とし、止めに入ったコーチを胴締めスリーパーで絞め落とした。彼女は、<超>がつく程、好戦的なのだ。その事件をきっかけに、<道場破り部>にスカウトされ、数々の<説得>を行なった。

そして、今年には妹の茜音が入学し、2人の最強タッグコンビが結成されたのだ。

「今日は、何処の弱小部を虐めるんだ?」校門近くの学生達が走り始めている。時計を見ると、時間ギリギリだ。俺も、走らなきゃと思った時、

「今日は剣道部♪」と長月姉妹は俺の両耳を挟む様な形で笑いながら言った。

「遅刻するよ!」「遅刻しますよ!」と言ったかと思うと、あっという間に走っている学生達の中に消えて行った。


放課後


道場には40人近くの部員が集まっていた。女2人なんだから、タコ殴りにすれば勝てるとか色々言っている奴が居る。しかし、40人が一様に混乱していた。通常、<退去勧告>は一週間以上前に発行される上に、実績は良好ではないが、剣道部より実績をあげていない部活などは、まだいっぱいあるのだ。

「たのもー!」と元気よく入って来たのは、姉の茜である。背後には、妹がぴったりとくっ付いていた。

40人近くいる道場が一気に静かになった。この学校で彼女達と、彼女達の実力を知らない者は1人もいないからだ。

「妹!退去理由を言ってあげて。」妹はすっと、姉の横に立ち一枚の紙を胸ポケットから取り出し読み始めた。

「現在の剣道部の実績は、桂木ユウト君の個人戦績のみが際立ち、団体戦では戦績を伸ばせていない。よって、人員のカットを行なう。40人規模の予算は負担が大きいので、剣道部を20人規模の団体にし制限を掛ける事が決まりました。」

妹が退去理由を言い終えると、次は姉が胸ポケットから紙を取り出し、20人の名前を言った。

「今いった奴ら前に出て?今回は、20人の<限定退去命令>だから、名前を呼ばれなかった人は残れるわよ。反抗したら、どうなるか解るよね?」姉は舐め回す様に部員を見ている。

皆恐れてしまって、何も言えないでいる。何人かの視線が俺の方をチラチラと見ている。幼馴染みのヨシミで何とかしろ という事なのだろう。しょうがない、と俺は2人の前に立った。

「なぁ、茜。俺たちは40人で<剣道部>なんだ。まだ他の部活で削れる所いっぱいあるんだろ?今回は他に言ってくれよ。」俺は姉の目を見て言った。

「駄目よ。もう決定してしまった事だし、ユウトは対象外なんだよ?関係ないんだし、向こうに行ってて。」 姉の茜は、俺の静止を振り切ったが、俺は姉の茜の手を掴んだ。

「生徒会の仕事だっていうのは、解る。だが、今回の決定は急遽過ぎるし、矛盾な点が多いし、それについての説明もない。」言い終わった瞬間に、道場内にドンという鈍い何かが倒れた音がした。

姉の茜も何が起きたのか解らず、一瞬のざわめきがあり、誰かが、うわっ!と声をあげた。

そこに目をやると、妹の茜音が、1人の剣道部員を捕獲していた。彼女は豊満な太股を男子部員の胴体に蛇のように巻き付け、首にはスリーパーホールドをかけ、胴締めスリーパーを構築していた。男子部員は、頸動脈を集中的に絞められたのか、一気に口から泡を吹きながら、失神した。妹は、男子部員を開放し、ゆっくりと立ち上がった。

「姉さん、見せしめ完了しました。後、ユウトさんに忠告ですが、<説得の妨害>は、生徒会に対する反逆行為で最も重たい刑罰が適用されます。」

俺は怒りを押さえるのが必死だった。妹の茜音が落とした部員は、剣道部入りたての初心者だった。だが、彼は毎日誰よりも早く練習を始め、誰よりも遅くまで練習していた。懸命に努力している彼は、今実績が無くても、いずれこの剣道部に必要になる有望な部員だった。

俺は、それを長月姉妹に説明し、怒鳴りつけてやろうと思ったが、あまりの怒りに冷静さを欠いた。

「竹刀よこせ!」と俺は他の剣道部員を怒鳴るように指示した。そして、渡された竹刀を持ち、矛先を長月姉妹に向けた。

道場は異様な静けさに包まれた。

「ユウト、あんた何してんの?正気?」姉は何処か嬉しそうだ。

「では、<処刑>させて頂きます。姉さん、どうします?」妹は何でも無さそうに言った。俺は竹刀を長月姉妹に向けてはいるが、防具も付けていない相手、それに幼馴染みの女の子に打ち込めるはずが無い。どう戦うか。俺も考えなければならない。

「そうねぇ♪ユウトとは一回やってみたかったし、私、長月<アカネ>だけでいくわ☆」
と姉は言い、服を脱ぎ始めた。姉の茜の豊満で少し筋肉で引き締まっている体が露になった。

「さぁって♪はじめよっか☆」その言葉を合図にするように、40人の部員達は俺と長月姉妹を中心とした円を描く様に道場の端に逃げて行った。

ユウト、制服のままで良いの?と言われ、あぁ。と答えた。レスリングなどのタックルなどでグラウンドに持ち込まれないためには、軽い服装の方が良いと俺は判断したのだ。

妹が俺と姉の間に入り、「スタート。」と言った。通常の<処刑>では、この様なタイマン形式など有り得ないのかもしれない。ただ、俺も格闘家として長月姉妹とは一度手合わせをしてみたかったので、このスタイルはありがたかった。

姉の茜は、体勢を低くしタックルの構えを見せている。俺は、竹刀を正面に構え彼女に間合いを取らせまいと目を凝らした。

ヒュ! と 彼女は低いレスリングの体勢から一気に俺の間合いに入って来た。俺は後方に飛びながら、彼女の肩を軽く竹刀で叩いた。

このような攻防が10分程続いた。彼女は俺の間合いに入っては逃げ、入っては逃げのヒットアンドアウェイを繰り返していた。彼女の狙いは、俺の間合いを正確に把握する事と集中力削る事だろう。俺の竹刀が、姉の茜に段々当たらなくなり、彼女に少し余裕が感じられて来た。

「そろそろ、いくよ?」姉の茜がニヤケながら、言ったと思うと、一気に俺の間合いに深く入って来た。俺はタイミングを合わせ、竹刀を茜の頭に叩こうと、竹刀を振り上げた時、背後から、何者かが俺の腕を拘束し、俺の構えた竹刀は頭上に止まったままになった。変わりに、姉の膝蹴りが、ガラ空きになった俺の鳩尾に深くめり込んだ。

グフッ・・・とその場に倒れ込みたかったが、何とか気合いで持ちこたえ、膝蹴りを喰らったのと同時に自由になった竹刀で、瞬時に姉の肩を叩いたが、近過ぎて威力が半減していた。

「もーらい☆」と姉の茜は俺の腕を竹刀ごと掴み、飛び上がったと思うと、彼女の太股が俺の腕に急速に巻き付いた。飛びつき腕ひしぎ逆十字固めだ。

ドンっ! と俺は道場の床に背中と頭を打ち、全身に衝撃が走った。と思うと、竹刀を持っている右腕を姉の茜がキツく絞め上げた。ぎゅううううううううう!!茜の鍛え抜かれた太股が的確に俺の右腕を絞り上げる。

「どう?ユウト。私の腕ひしぎ逆十字の味は?ほらぁ☆」ぎゅううううう!!姉の茜は、腰を浮かせ、さらに仰け反った。俺は余りの痛みに耐えられず、竹刀を手放してしまった。

妹の茜音が、ゆっくりと歩いて来て、手放した竹刀を蹴飛ばした。そして、俺を上から覗き込んだ。

「卑怯だって思ってるんですか?でも、姉さん、<長月アカネ>で勝負するって言ってましたよ。私も、長月アカネですから。タイマン形式なんて、誰も言わなかったですよね?でもまぁ、今回は非効率的でしたが、ユウトさんが幼馴染みだという事で、少し姉さんとタイマンさせてあげました。でも、安心して下さい。<処刑>はキッチリ行ないますから」そういうと妹の茜音は、俺の左腕に太股を巻き付け、腕ひしぎを構築した。

「うわぁああああああ!!!」俺の両腕に激痛が走る。ミシミシ!ミシミシ!

「妹、せーのでいくよ!」長月姉妹は、俺の両腕に巻き付けている太股に力を入れ、硬化させたかと思うと、ボキっ!!!と ほぼ同時に俺は腕の根元から脱骨した。俺は、痛さよりかも<骨が折れた音>の方が衝撃的で、何かを叫ぼうとしたが、長月姉妹は早急に技を解き、姉の茜が俺の上に跨がり、マウントポジションを形成され不発に終わった。

「これでアンタはタップも出来ないね♪」姉の茜は俺の上でニッコリと笑った。「姉さん、こっちも準備オッケーですよ。」妹の茜音は、自分の足を俺の足に絡め、膝十字固めを構築していた。「やれ。」姉の合図と共に、妹の茜音は膝十字固めでジワジワと少しずつ何かを押しつぶす様にゆっくりと極めてきた。

姉の茜は、少しずつ痛みで歪む俺の顔を両方のムッチリした太股で挟み上から覗き込んでいる。膝がある角度から技についていけなくなり、急激に痛みが込み上げ、俺はまた「うわああああ!!痛い!!」と叫んだ瞬間、姉のムッチリと触れていた太股が急激に力が加えられ、俺の顔がタコの口のようになるほど両側から顔面全体を絞められ、そのタコ面に向かって、思いっきりパンチが振ってきた。

ガキッ!!と聞いた事もないような音が聞こえた。鼻が折れてしまったのだろう。自分では確認出来ないが、口に生暖かい鉄の味をした液体が入って来た。

「アンタが叫ぶ度に、私の強烈パンチがノーガードで入って来るから♪叫び過ぎたら、頭蓋骨陥没しちゃうから気を付けてね。叫ばないと、叫ばないで妹が膝を粉砕しちゃうだろうけどね☆」姉の茜の目が怪しく光っている。非常に野性的な目でもあり、何処か官能的だ。

俺は結局、この拷問を20分ほど繰り返され、右足、左足も妹の茜音によって粉砕され、顔は恐らく腫れきっているのだろう。瞼が無理矢理下がって来てしまう。

俺は軟体動物の仲間入りを果たしたかのように、腕も足もあらぬ方向に曲がっていた。俺が軟体動物と唯一違う点は、あらぬ方向に曲がっている部位が激痛を伴っているという事だ。

「さすがユウトさんですね。<処刑>は大体5分程度で終わるのですが、ここまで時間が掛かったのはユウトさんが初めてですよ。」妹の茜音は、俺の胴体を大蛇の様な太股で挟みながら言った。

「まぁ、アンタもまだまだって事だね。」姉の茜は俺の頭を一瞬持ち上げ、俺の首を鍛え上げられた彼女の太股で拘束した。彼女はゆっくりと、脚で4の字を描き、首4の字固めを作った。

「おやすみ♪」姉の茜がそう言うと、その言葉とまるで共鳴するかの様に彼女達の太股は俺を眠りへと誘った。