サイコロフィクションRPG「Fate/Table Night」
上記にて1/9に冬コミ新刊「Fate/Table Night」を電子書籍化、配信開始となりました。その際、何が必要か思案しながら作業しましたので、その内容をレポートしたいと思います。
一応断りを入れておきますと、この作業はあくまで私個人の視点でやっており、電書業界やプロの方の手法とはたぶん違います。IT系技術を持った方なら「私ならこうする」という部分も結構あるでしょう。そういった前提を汲み取っていただけると助かります。


それでは電子化作業のスタートでありマッスル!

「あれ、連載終わったんじゃないっけ?」
「気分で追加しマッスル!」


内容
1.電子書籍化のコンセプト
2.内容の改造
3.ファイルフォーマット
4.データ保護


――解説――
1.電子書籍化のコンセプト
今回の電子書化コンセプトとして、

・紙書籍と電子書籍の違いを念頭に置いた変更。
・見やすい、使いやすいファイル構成に変更。


を上げています。今まで電子版を配信してきて、紙書籍そのまんまだったので工夫を入れてみようというもので、印刷用のInDesignデータを改造する形で行います。


2.内容の改造
改造点は次のとおり。

・PCで「見る」ものに改造
PCで見ることを念頭に、横幅を広く、文字を書籍版より大きく見せられるように改造します。
具体的には

B5縦長の書籍用デザインを横長に90度回転
余白部分を削り、文字を大きく表示できるように


の2点を行いました。

処理前
レイアウト回転前


処理後
レイアウト回転後


当然ながらレイアウトが崩れるので、画像や文章を全て調整する必要があります。今回はリプレイパートでキャラクター紹介、ルールパートでデータ表の掲載ページを調整しています(終わった後に目次)。
また、書籍では見開きという概念(本を開いた状態でデザインする)がありますが、電子版は必要ありません。見開き機能を省略し、単一ページで見るように飾りなど変更。

・画像を1Cから4Cに
カラー画像があれば、それを使用しようというものです。勿論紙書籍の作成段階で電子化を意識しないといけませんので、初期段階の計画が重要となります。が、今回は非常に幸運なことに絵描きさんが4Cイラストを当初から描いていまして、それを利用させていただきました(だるまさん感謝!)。

1Cを
バーサーカー1c


4Cに
バーサーカー4c


元々が4Cなので元データに戻すだけなのですけどね(汗
あと、ルールパートでは本文に飾り画像を入れていましたので、それらを4Cに変更しています。こちらはイラストレーターデータで作成していましたので、画像を開いて直接変えています。

飾り1C


飾り4C



・タイトル、また各PC発言の名前をカラーに変える
各章ごとのタイトルを目立つ色に変えます。そしてリプレイなので各PCもカラーにしました(上図の回転処理後)。Fateなので各陣営ごとと、GMで色分けをしています。


・その他
横長にする必要のないもの、調整が難しいものはそのままです。キャラクターシートはプリントしやすいよう縦長のままに。チャート類の調整はカラー化するだけで済ませています。


3.ファイルフォーマット
次にとても悩んだのがファイルフォーマットです。基本はPDFなのですが、その他のファイルフォーマットはどうだろうかと思案しました。ちなみにInDesignからの出力で可能なフォーマットを簡単に解説すると次のとおり。

PDF
最も手軽でスタンダードな形式。

利点:作り手の望んだレイアウトで見せることが可能。出力上最も安定する。
難点:テキストリフローでないため可読性が落ちることがある。そのためテキストレイアウトや文字サイズに注意。またPDFはちょっとしたテクでテキストデータや画像等の抽出が可能なので、ファイル保護上の問題がある。
主な使用アプリ:Adobe Reader


EPUB
HTMLができる人ならすぐに慣れて作れる形式。

利点:テキストリフロー型なので、ウィンドウサイズを変更して読むことが可能。iPadやスマートフォンで見れるので「これが電子書籍か!」という気分を味わえる。
難点:画像や表の配置が自在にとはいかないので、ちょっとテクが必要。また、見るためにビューワアプリなどを入れなければならないので割とめんどく、なにより日本ではまだまだ一般的ではない。これやるならBlogにテキスト流すほうが早い。さらにEPUBはDRM(ファイル保護技術だったかな)入れない限りザルなので、個人で公開する場合は分解される覚悟が必要。
主な使用アプリ:Adobe Digital Editions(PC)、iBooks(iPad・iPhone)


HTML
IEなどのブラウザで読む形式。

利点:ブラウザがあれば読める。ほぼ全ての人が閲覧可能な形式。ルール部分を構造化すると検索などの利便性が一番強くなる(と思う)。
難点:本からコンバートするにはいろいろとめんどい。やっぱりBlogにテキスト流すほうが早い。HTMLはEPUBより扱いやすい都合上、さらにファイル保護がザルなので材料が簡単に分解されてしまう。ルールを構造化する場合、Webデザイナー等のIT技術者の手助けがないと厳しい。
主な使用アプリ:IE、Safariなどのブラウザ

FLASH
ブラウザなどで読める形式。

利点:お手軽にページめくり効果などを付けられるので面白い。
難点:本文検索できなかったり、iPad、iPhoneでは読めないなど欠点あり。リプレイならいいけど、ルールブックはアウト。FLASHは専門知識なしにファイル分解できないので、ファイル保護は強い。
主な使用アプリ:IE、Safariなどのブラウザ

今回はPDF&FLASHで検討したのですが、ぱっと見が大して変わらないのと、FLASHならではの遊びがまだまだという印象が拭えなかったのでPDFのみの配信としました。
そしてPDFではファイル出力したあとに次の設定を入れています。

文章のプロパティを開きます(Ctr+D)
開き方タブをクリック
表示:ページパネルとページ
ページレイアウト:単一ページ
ツールバーを非表示にチェック
ウィンドウコントロールを非表示にチェック

これらを内容に合わせて設定することで、PDFを開いた際に見やすい状態になります。

PDFプロパティ1



4.データ保護
いわゆるDRM(デジタル著作権管理)技術のひとつですが、個人でやるので大したものではありません。ファイルそのものはコピペするだけで複製できてしまいますので。
ここでやっているのは中身のテキストや画像の変更をやりづらくする設定方法です。この設定をすることで次の操作が制限されます。

・PDFからの印刷
・PDF上でのテキスト、画像操作
・InDesign等への貼り付け
・Photoshop等での画像化

設定方法は次のとおり

PDFプロパティ2


文章のプロパティを開きます(Ctr+D)
セキュリティタブをクリック
セキュリティ方法:パスワードによるセキュリティ
設定:暗号化とパスワード、変更等を許可しないに

ちなみにパスワードは

Aniki_00

です。Twitterの名前そのままですね。今回は念のため(&検証)としてリプレイとルールに入れてあります。チャート集とキャラクターシートはなしです。必要な方は上記パスを使用してください。


以上で今回の作業レポートは終わりです。
呼んでくださった方、ありがとうございました。
また次の機会がありましたら掲載してみますね。