「生贄母学園」第6話をお送りします。
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全24話あります。
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「ふぅ、やっと百貨店まで来られたわね。それでは千鶴子さん、新しい下着をすぐ買いましょう?」

 学園を飛び出してから数十分後、静姫はついに百貨店へと辿り着いていた。
 千鶴子を引き連れたまま学園を出発して、延々と道のりを歩き続けるうちに、考えた以上に時間を要してしまった……千鶴子がなかなか歩こうとせず、途中の 道端で立ち止まった挙げ句、ついには歩道橋の上で粗相までしでかした事実を思い返さずにいられない。
 さらには児童公園にも寄り道しながら用まで足させた分、すぐに買い物を済ませようと思い込む。

「お、お願いですから待ってください……ひうぅんっ」
フラフラフラッ。

 静姫に手を引かれるまま店内を歩き回る状況に、千鶴子はすっかり困り果ててしまう。
 やっと入り込むことができた百貨店の中でも、おかしな状況が繰り広げられるのを思い悩まずにいられない。
 休日のためか混んでいる店内の中で、どれだけ制服姿などを見られるか、考えるだけで落ち着きを失ってしまう……ついに辿り着いた百貨店の中でも、屋外と 同じような思いにさせられるのは明らかだった。
 いくら新しい下着を買い与えてもらうためだとしても、恥ずかしい状況から少しも逃れられそうにないのだ……

「もう、千鶴子さんってば。何をぐずぐずしているの? 百貨店に入るまで時間も掛かっちゃったし、すぐお買い物を済ませたいのに」

 歩くのをためらう千鶴子を、静姫は強引に急かしてみせる。
 しっかりと袖を引っ張りながら、すぐに衣料店へ向かおうと誘い出す。
 たとえ千鶴子が嫌がったとしても、新しい下着を買い与えるのと同時に『保健教材』として相応しい振る舞いを教え込むつもりでいたのだ。

「静姫様、お待ちください。来栖川さんのスカートが、少し汚れているみたいです……」

 千鶴子を引き連れたまま店内を進もうとする静姫を、童守が何故か引き止めてきた。
 静姫へと呼びかけながら、千鶴子の格好を指摘し始める。
 千鶴子の下半身を指差しながら、白いスカートに染みが点々と浮かんでいる事実を静姫へと教え込む。

「そ、そんな……あうぅんっ!」
モジモジモジッ。

 童守から受けた言葉に、千鶴子は思わず焦り出してしまう。
 静姫とともに下半身を覗き込んだ後、気づかぬうちに出来上がった姿を思い知らされる。
 白地だったスカートの表面に、薄黄色い染みが浮かび上がっていたのだ。
 スカートの生地に滲んでいる液体の正体など、途中の道のりで垂れ流したオシッコ以外に考えられなかった。
 歩道橋で粗相をしでかした時か、それとも児童公園の中で排尿した時かと考える間も、みっともない痕跡を前に困惑せずにいられない。

「どれどれ……やだぁ、もしかして先ほどのお小水? こんな格好なんて、誰にも見せられないじゃない!?」

 千鶴子とともにスカートの様子を見つめながら、静姫は思わず文句をこぼしてしまう。
 さりげなく下半身を覗き込んだ後、白地のスカートが変色した様子を目の当たりにして、あまりに考えられない姿だと指摘をぶつける。
 学園の制服を着ている以上、みっともない着こなしを人前に晒すなど許されない事態だったのだ。

「す……すみま、せん」
フルフルフルッ……

 静姫から浴びせられた言葉に、千鶴子はすっかり震え上がってしまう。
 スカートの染みを見つめながら怒り出す静姫の素振りに、つい困り果てずにいられない。
 屋外でオシッコを垂れ流すまま、細かい水滴の跡などをスカートの表面に取り残すなど、誰かから指摘を受けても当然な不始末だった。
 下半身を見つめる間も、静姫から鋭い視線を突きつけられて、あっけなく気持ちが揺さぶられてしまう……

「……そうだ。静姫様、先に注文した体操着を取りに行きましょう。そろそろ仕立て上がっている頃かと」

 思い悩む千鶴子の様子を見届けながら、童守はある提案を思いつく。
 制服とともに注文した体操着も、すでに出来上がっているはずだと踏まえた上で、先に学生衣料店へ向かうよう静姫へと促す。
 体操着の試着をさせるとともに、薄黄色く汚れたスカートと一緒に制服を脱がせて、別の衣装を着させるつもりでいたのだ。

「少しはしたない格好かもしれないけど、こんな姿を人前で見せるよりは幾分か許せそうですわね……それじゃあ千鶴子さん、一緒についてきなさい?」
グイッ。

 童守に促がされるまま、静姫はすぐに千鶴子を衣料店へと向かわせる。
 学園の外で体操着を着させる格好が少々はしたないかもしれないと感じながら、それでもオシッコで汚れたスカートを穿き続けるよりは良いだろうと考えてい たのだ。
 ちゃんと体操着が仕立て上がっているかを気にしながら、強引に通路を歩かせてしまう。

「そ、そんな。静姫ちゃん、待ってください……くうぅっ!」
フラフラフラッ……

 静姫に言いつけられる形で、千鶴子は学生衣料店へと連れられる。
 まさか新しい下着ではなく、体操着まで着せられるなど思いもしなかった……学園の制服だけでなく体操着まで勝手に作られている上、これから袖を通す羽目 になるなど考えられない事態だった。
 店内を歩き回る間も、誰かとすれ違うたびに肩を震わせずにいられない。
 周囲から向けられる視線を意識させられるたびに、胸の奥底が揺さぶられてしまうのだ。

ヒクヒクヒクッ……
(どうしよう、こんなに人が大勢いる中なのに……こんな格好なんて見せてしまうなんて!)

 着込んでいる制服姿を見られるたびに、千鶴子は耐え難い気まずさを思い知らされる。
 数日前も思い知らされた思いを、またしても強いられるような状況に震え上がらずにいられない。
 誰かとすれ違うたびに、おかしな制服姿へと好奇の視線が差し向けられる。
 すぐに身を取り繕いたい気持ちに駆られながら、それでも静姫が少しも手を離さず、はしたない格好を延々と晒し続けないといけないのだ……

      *      *      *      *      *      *

「ごめんください。まだお電話はいただいてなかったのですが、注文した体操着はできていますか?」

 学生衣料店へと辿り着いた後、静姫は店員を呼びつける。
 千鶴子のために発注した体操着ができているか、店員にどうしても尋ねたかったのだ。
 まだ連絡ももらってなかったので、体操着が仕立て上がっているかを気にせずにいられない。

「いらっしゃい、お嬢様。今朝届いたばかりで、これからご連絡するところだったんです。こちらでよろしいでしょうか?」

 姿を見せた静姫へと、店員はそっと返事を返す。
 すでに準備が整っていると答えながら、千鶴子の体型に合わせて用意した体操着を棚から探り出す。
 お得意様である静姫のために、いち早く体操着の用意に取り掛かっていたのだ。

「ありがとうございます、ちょうど物入りだったの……それじゃあ千鶴子さん、すぐ着替えてもらえるかしら?」
グイッ。

 店員へとお礼を返した後、鶴子は千鶴子を試着室へと向かわせる。
 すでに体操着が出来上がったことを喜ぶまま、すぐに千鶴子への試着を執り行うつもりでいた。
 たどたどしい足取りのまま、なかなか脚を持ち上げようとしない千鶴子の手首を引っ張りながら、強引に試着室の中へと押し込んでしまう。

「制服を預からせていただきたいので、お手伝いいたしますね?」
スルスルスルッ。

 試着室へと入り込んだ千鶴子の後に、童守もさりげなく割り込んできた。
 無理にでも千鶴子を体操着へと着替えさせるため、着込んでいる制服を引き剥がす。
 スカートのホックを外して、両脚から引き抜いた後、さらにはジャケットやブラウスも預かると、すぐにカーテンの向こう側へと身を引っ込んでしまう。

「あ、あうぅんっ……」
フルフルフルッ……

 試着室の中で立ち尽くしたまま、千鶴子はすっかり困り果ててしまう。
 まさか体操着への試着を迫るため、着ていた制服まで奪われるなど思いもしなかった。
 あっけなく全裸にさせられた後、折り畳まれた体操着を身に着ける以外、試着室の外にはどうしても出られそうにないのだ。
 目の前にある鏡を見つめながら、一糸纏わぬ格好を恥じらわずにいられない。

(やっぱり、澄恋が着ているのと同じ……本当にこんな体操着なんかに、着替えないといけないの?)

 仕方なく体操着へと着替えることにした千鶴子だけど、自分のために用意させられた代物に思い悩んでしまう。
 澄恋が体育の授業や、運動会の時に着ているのとまったく同じ体操着が、自分の体型に合わせて作られていたのだ。
 肩口や袖口が紺色に作られたヨーク襟の半袖体操シャツや、横部分に白い二本線が施された、深穿きの形状に作られた濃紺ブルマの片側には、ご丁寧にも『来 栖川』と山吹色の刺繍まで縫いつけられている。
 娘の澄恋が着ているものとまったく同じ体操着へと恐る恐る袖を通す間も、母親として考えられない格好を恥じらわずにいられない。
 体操着やブルマなど学生の時に着て以来、一度も身に着けたことがなかったのだ。

「ちょっとお伺いしたいんですけど……この染み、きれいになりますでしょうか?」
「どれどれ……これくらいなら一度お洗濯すれば大丈夫ですよ?」

 体操着への着替えに手間取っている千鶴子を尻目に、更衣室の外ではとんでもない状況が繰り広げられていた。
 千鶴子から奪い去った制服を店員に見せつけながら、静姫がとんでもない質問をぶつけてしまう。
 スカートの表面にも染み込んだ、薄黄色い染みをどうすれば取れるのか、わざわざ店員に尋ねていたのだ。

(やだ、静姫ちゃんったら……こんなこと、どうして店員さんに聞いちゃうの?)
フルフルフルッ……

 あまりに考えられない静姫の行動に気づいて、千鶴子はおかしな焦りに駆られてしまう。
 スカートに取り残されたオシッコの染みを、店員に見せつけるような真似を強いられるなど考えられなかった。
 静姫と店員の声が、カーテンを挟んだ向こう側から耳に飛び込んでくるのが恥ずかしくてたまらない。
 とんでもない状況に慌てる間も、体操着を着込む準備をなかなか済ませられず、当分は試着室の外から出られそうにないのだ……

      *      *      *      *      *      *

「来栖川さん、そろそろ着替えの方はお済みですか?」
シャッ。

 千鶴子の合図を受けて、童守は試着室の様子を探り出す。
 試着室のカーテンを開きながら、新品の体操着を着込んだ千鶴子の姿を確かめる。
 用意された体操着を千鶴子が着こなしているか、静姫も心待ちにしているはずだと気づいて、一緒に見据えるつもりでいたのだ。

「あ、あまり見ないでください……ひうぅんっ」
フルフルフルッ……

 試着室のカーテンを不意に開かれて、千鶴子はすっかり驚かされてしまう。
 新品の体操着姿へと着替えた後、はしたない格好を自分でも戸惑っていたのに、静姫や童守の前であっけなく露わにさせられていたのだ。
 続々と向けられる視線を受けるたびに、どうしても背筋を震わせずにいられない。
 人前で見せるのもためらうような格好を、ついに自ら身を通していたのだ。
 濃紺の生地から剥き出しになった太股を、あっけなく震わせてしまう……

(こんな年になって、体操着まで着せられるなんて……こんな刺繍まで入れてもの、いつの間に用意したって言うの……!?)

 その場に立ち尽くしたまま、千鶴子は思わず困り果ててしまう。
 サイズが小さめに作られた体操シャツや、お尻全体を包み込む深穿きの形状をしたブルマを穿いた後、体操着越しに体型を浮かび上がらせていたのだ。
 ブラにも覆われてない乳房の形状が、胸元でしっかりと浮かんでいる上、脚ゴムがきつく太股に食い込むまま、股間やお尻の形まで露わにさせられる。
 苗字を刺繍まで入れられたブルマ姿を、静姫や童守や店員にも確かめられるような状況など戸惑わずにいられない。

「千鶴子さんのお着替えも済んだし、すぐに新しい下着を買いましょう?」

 身をこわばらせる千鶴子も構わず、静姫は試着室から引っ張り出す。
 体操着と一緒に用意させた運動靴へと履き替えた後、千鶴子の手首を強引に掴んだまま今度こそ『保健教材』として相応しい下着を買い与えるつもりでいたの だ。
 店員へと挨拶を交わした後、体操着姿の千鶴子を引き連れたまま、衣料店への道のりを無理にでも歩かせる。

「し、静姫ちゃんってば。あまり急かさないで……はうぅんっ!」
モジモジモジッ。

 静姫に手を引かれるまま店内を延々と歩いていた千鶴子だけど、ひとりでに両脚を震わせてしまう。
 学園の体操着を着込んだまま、大勢の人達が行き交う通路を突き進む間も、耐え難い居心地の悪さに駆られずにいられない。
 体操シャツの内側で揺れ動くまま、豊乳の丸い形状を見事に象る胸元や、脚ゴムがきつく太股に食い込むブルマによって、むっちりと張った尻肉がしっかりと 浮かび上がっていたのだ。
 まさか体操着姿を人前で晒すことが、ここまで恥ずかしいなど思わなかった。
 煌びやかな店が並ぶ通路の中を、あまりに相応しくない格好のまま歩き回っているのだ。
 すぐに身を取り繕わないといけない中、なかなか静姫が手を離そうとしないせいで、体操着の中でたわわに揺れ動く乳房の様子を、周囲にいる人達へとさらけ 出してしまう。

「……あら、来栖川さん。こんなところで会うなんて奇遇ねぇ?」

 少しも周囲を振り向けない状態のまま、延々と通路を歩き回っている千鶴子を、不意に誰かが呼び止める。
 百貨店の中で千鶴子の姿を見かけたので、普段どおり話し掛けていたのだ。
 まさかお買い物の途中で出会うとは思わなかったと洩らしながら、千鶴子の返事を待ち受ける。

(どうしよう……こんなはしたない格好、まさか誰かに気づかれちゃうなんて……!)

 不意に掛けられた言葉のせいで、千鶴子は思わず全身を硬直させていた。
 恐る恐る声の方を振り向くと、澄恋のクラスメートの母親が佇んでいた事実を思い知らされて、胸の奥底があっけなく揺さぶられてしまう。
 まさか静姫に仕向けられるまま、とんでもない格好を続けていた矢先に、顔見知りの相手と出会うなど思いもしなかった……見ず知らずの相手ならまだしも、 まさか知り合いと出会うなど考えられない事態だった。
 人前で見せることすらためらうような格好を、見られてはいけない相手の前で露わにしていたのだ……

「あっ……い、磯ヶ谷さん。こんにちわ……」
フルフルフルッ。

 おかしな焦りに駆られるまま、千鶴子は恐る恐る挨拶を返していた。
 顔見知りの母親へと言葉を交わす間も、気づいたらぎこちない素振りを取ってしまう。
 とんでもない辱めを強いられる途中で、どうして知り合いと遭遇ししてしまったのか、考えるだけで悔やまずにいられない。
 すぐに逃げ出したい気持ちに駆られる中、何故か脚がすくんでしまい、どうしても身を遠ざけられそうにないのだ。

「ねぇ、来栖川さん。どうして……学園の体操着なんかを着てらっしゃるの?」

 千鶴子の挨拶を受けた後、相手はある質問を投げ掛ける。
 どうして学園の体操着を着ているのかと、ためらいもなく千鶴子へと尋ねてしまう。
 挨拶を交わす間も視線を泳がせながら、困惑した表情を浮かべる様子を気にしながら、どうして学園の生徒達と同じような格好に身を投じているのかと頭を捻 らずにいられない。
 今にもはち切れそうなほど膨らんだ乳房やお尻など、豊満な肉体の形状を、体操着越しに露わにしている千鶴子の格好など、傍で眺めるだけでも視線のやり場 に困ってしまう代物なのだ。

「そ、それはですね……ひうぅんっ!」
ワナワナワナッ……

 不意に相手からぶつけられた質問に、千鶴子は思わずうろたえてしまう。
 抱え込んだ事情を、どう相手に誤魔化せばいいかを思い悩みながら、少しも良い考えが浮かびそうにないのだ。
 沢山の人達で賑わう百貨店の中で、学園の体操着を着込んでいる姿など、誰かから疑われても当然な格好だった。
 不思議そうな視線を向ける相手の様子を窺う間も、抱え込んだ戸惑いを上手く取り繕えそうにないのだ……

(こんな人に見せられない格好なんて、磯ヶ谷さんに誤解されても当然だわ? 私のおかしな格好、一体どう思われちゃってるのかしら……!?)

 相手の追求をどうしても跳ね除けられない状況に、千鶴子はすっかり困り果ててしまう。
 まさか母親の身にもなって、娘の澄恋と同じ体操着姿に身を包むなど考えられない状況だった。
 どんな言い訳を重ねればいいかも分からず、まともな返事すら交わせそうにない。
 全身の体型を露わにする体操着や、苗字の刺繍まで入れられたブルマまで身に着けた、自分でも破廉恥としか思えない格好など、どう頑張っても誤魔化せそう にないのだ……

「あら、ごめんなさい。おばさま、早くスポーツジムまで向かわないと、澄恋ちゃんが待ちくたびれちゃいますわよ?」

 その場に立ち尽くしたまま顔を俯かせていた千鶴子へと、静姫が不意に割り込んでくる。
 あまり澄恋を待たせても可哀想だから、すぐにスポーツジムへ戻ろうと口にしながら、さりげなく視線で合図を送る。
 ブルマから伸ばした両脚を震わせたまま、すっかり困り果てた千鶴子のため、すぐに相手の追求を振り払うつもりでいたのだ。

「あっ、静姫ちゃん……娘がどうしてもスポーツクラブに通いたいって言うものですから。こんな見苦しい姿でごめんなさいね……?」
フルフルフルッ……

 静姫に急かされるまま、千鶴子は恐る恐る相手へと返事を返す。
 先ほど静姫が洩らした言葉と口裏を合わせながら、娘の澄恋とともにスポーツクラブへ向かっている最中だと口にする。
 普段から着ているスポーツウェアが台無しになったにも関わらず、それでもスポーツクラブに行きたいと澄恋にせがまれて、体操着を借りる羽目になったと説 明しながら、無理にでも相手をやり過ごすことにしたのだ。
 無理な言い訳を重ねる間も、相手に納得してもらえるかを心配せずにいられない。

(ごめんなさい、澄恋ちゃん。上手く誤魔化さないと、私のおかしな格好が噂になって大変なの……)

 相手の返事を待ち構える間も、千鶴子は耐え難い不安に苛まれてしまう。
 まさか顔見知りの相手に掴まった後、静姫から助け舟を出してもらえるなど思いもしなかった。
 気づかぬうちに澄恋の名前を口にしたのを申し訳なく感じながら、それでも相手の追求を避けることにしか頭が回りそうにないのだ。
 相手の様子を窺う間も、ちゃんと誤魔化せたのかを気にせずにいられない……

「そ、そうなの。あまり長話して、澄恋ちゃんを待たせるのも良くないわね、それでは失礼するわね……?」

 千鶴子の言葉に耳を傾けた後、相手は恐る恐る返事を返す。
 おかしな違和感に苛まれながら、それでも娘の澄恋を待たせていると聞かされて、そそくさと退散することにしたのだ。
 千鶴子の元を立ち去る間も、どうして百貨店の通路を体操着姿のまま歩き続けているのか、どんなに考えても不思議でたまらない。

「は、はうぅっ……」
モジモジモジッ。

 知り合いの背中を見送った後、千鶴子は思わず溜め息を洩らしてしまう。
 まさか体操着姿のまま店内を練り歩いている間に、顔見知りの相手と出くわすなど考えられなかった。
 相手が立ち去るのを見届ける間も、作り笑いを浮かべるだけで精一杯だったのだ。
 無理のある説明の内容を振り返りながら、気まずい思いに苛まれずにいられない。
 もし次に顔を合わせた時に、先ほどの出来事を掘り起こされたらと思うだけで心配でたまらないのだ。

「それじゃあ千鶴子さん、今度こそ新しい下着を買いに行きましょう?」
グイッ。

 脚をすくませる千鶴子も構わず、静姫はさらに店内を歩かせるつもりでいた。
 まさか千鶴子を引き連れたまま百貨店を歩き続けるうちに、知り合いと鉢合わせになる出来事に出くわすなど思いもしなかった……知り合いの顔を見つめたま ま全身をこわばらせて、すっかり困り果てていた千鶴子の表情を思い返すだけで、どうしても笑みをこぼさずにいられない。
 想像した以上に愉快な出来事に巡り合えた後、興奮した気持ちのまま、千鶴子をさらに洋品店へと向かわせるつもりでいたのだ。

「ま、待ってください……ひうぅんっ!?」
フラフラフラッ……

 静姫に手首を引っ張られるまま、千鶴子は一息つく暇もなく通路を歩かされていた。
 まだ気持ちも落ち着かない中、わざわざ賑やかな通路を選んで、洋品店への道のりを急かしてくるのだ。
 すれ違う相手へと体操着姿を延々と晒し続けるうちに、次々と視線が差し向けられる。
 本来なら学園の中でしか見せないような格好を、人前で延々と晒し続けているのだ……気恥ずかしい気持ちに駆られるたびに、つい太股を震わせずにいられな い。

(どうしよう……このままじゃ本当に何もかも、澄恋と同じ格好にさせられてしまうのに……)

 激しい気持ちの揺さぶりに駆られながら通路を歩くうちに、千鶴子はついに目的地へと辿り着いてしまった。
 体操着姿のまま、衣料店の中へと入り込んだ後、静姫に手を引かれるまま、子供用下着売り場にも脚を踏み入れていたのだ。
 純白やパステルカラーの色合いが眩しい様子を目の当たりにして、どうしても焦らずにいられない。
 これから身に着けるはずの下着類を目にするだけで、おかしな目眩にも襲われてしまう。
 澄恋の下着を買うために立ち寄るような場所で、これから自分が身に着けるための下着を、静姫の手によって選ばされる羽目になるはずなのだ……

      *      *      *      *      *      *

「澄恋ちゃん、すぐお風呂で暖まろうね……?」
スルスルスルッ。

 夕食を食べ終わった後、千鶴子は一緒にお風呂へ入ろうと澄恋を誘い出す。
 今まで穿いていた下着を奪われた上、人前で制服姿や体操着姿などを晒し続けるような状況まで強いられるうちに、お家に戻る頃にはすっかり疲れ切っていた のだ。
 少しでも気分を紛らわせるためにも、澄恋とともにお風呂に入るつもりだった。
 せめて娘の澄恋と過ごす時だけは、学園の中で引き起こされた出来事を忘れて、母親らしい姿を見せたかったのだ。

「うわぁ……ねぇママ、すっごく可愛い下着。いつの間に買ったの?」

 一緒に衣服を脱ぎ去る途中で、澄恋は千鶴子の思わぬ格好に驚かされる。
 いつもは地味な色合いの下着を身に着けていた千鶴子が、今日に限っては可愛らしい下着姿に身を包んでいたのだ。
 全体が白地で、胸元が小花飾りやフリルが施されている上、裾部分にも同様のフリル状に作られている蘭型スリップや、さらにお尻全体を覆い尽くす形状で、 スリップと同様の小花飾りがおへその辺りに、フリル飾りがお尻についている純白のショーツを穿いている姿まで見せられて、つい興味をそそられてしまう。
 可愛らしい下着などを、いつの間に買ったのかと尋ねずにいられない。

「ちょ、ちょっと百貨店に寄ってたのよ……」
モジモジモジッ。

 熱心に向けられる澄恋の視線に、千鶴子は思わず戸惑ってしまう。
 先ほど百貨店で買ってきたと伝える間も、気づいたら言葉を詰まらせてしまう。
 身に着けるだけでも気恥ずかしい下着姿などを、まさか澄恋から注目させられるなど思いもしなかった。
 可愛らしさを強調するデザインの下着など、本来なら澄恋のような少女が穿くような代物だと、うらやましがる素振りからありありと思い知らされる。

(こんな下着なんて、母親になった私には似合わないって言うのに……!)
フルフルフルッ……

 ついに澄恋にも気づかれた下着姿に、千鶴子は思わず引け目を抱いてしまう。
 今まで身に着けていた下着を処分させられた代わりに、これからは静姫に買い与えられた女児ショーツやスリップなどを着たまま過ごさないといけないのだ。
 浴室へ入る間も、澄恋が新しい下着を見つめたまま、少しも視線を離そうとしない様子など思い悩まずにいられない。
 このままだと学園の中で繰り広げられる行為を、澄恋にも気づかれてしまうかも分からないのだ……



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