魔法少女☆リップル



魔法少女☆リップル 

◆プロローグ

ここは魔法の国クラリア。
妖精のサーニャは王宮から呼び出しを受けています。

サーニャ「うーん、
      シド様に呼ばれてきたけれど何の様かしら?
      もしかして、聖なる泉にお菓子を落とした事がバレたのかも? 
      それとも、このまえ魔獣を取り逃して王宮に逃げ込まれたことかも、
      原因が多すぎて困るわ・・・・・・」

サーニャは頭を抱えながら、王宮図書館に向かって飛んでいきます。
扉を開くと待っていたのは、補佐官のシドです。
シドはサーニャが通っていた魔法学園の校長でもあるのです。

シド「サーニャ
   何故呼ばれたか分かっておるか?」

サーニャ「えーっと、
      シド様の大切な本を破って・・・・・・しまったことでしょうか・・・・・・?」

シドは大きくため息をつきます。

シド「お前は相変わらず成長しないな。
   王宮の中ではお前をマジカルフェアリーの任から外すという意見がでておる」

サーニャ「そんな、ひどいですよ、シド様!  
      マジカルフェアリーになるのが私の夢だったんですよ。
      その夢が叶って一生懸命やっているじゃないですか、
      それをやめろって、何様のつもりなんです」

シド「落ち着けサーニャ、首を絞めるな!
   いいか、正式に決まったわけではない。
   じつは女王様から、チャンスを与えてはどうかと言われておる」

サーニャ「本当ですか!
      さすがアルテラ女王様です」

シド「お前に命令しよう。
   それは人間界に脱走したアズレイを捕まえることじゃ」

アズレイ!
その名前を聞くとサーニャの目が大きく開き、羽根がパタパタとはためきます。
学園時代に何度も衝突してライバル関係にあった二人。
しかし、それはアズレイが学園の聖地に眠る七色のオーブを盗もうとしたことによって終わりを告げました。
見つかってしまったアズレイは、
拘束されて地下の迷宮に閉じ込められてしまったのです。

そのアズレイがどうやら人間界に脱走したようです。

サーニャ「ふふっ、これはむしろラッキーね。
      アズレイを捕まえれば汚名挽回、名誉返上、 
      上手くすればマジカルフェアリーのトップに立つことも夢じゃ無いわ。
      そして、10勝10敗だったアズレイとの勝負に、
      決着をつけることができるわ!」

サーニャはその場でくるりと回転すると、シドに笑顔をみせます。

サーニャ「わかりました。
      マジカルフェアリーのサーニャ。
      アズレイを必ずや捕まえてきます」

シド「それとなサーニャ。
   言い忘れていたが、アズレイを捕まえるまでは戻ってこれないからな」

サーニャ「え・・・・・・嘘でしょ・・・・・・」

シドに連れられて向かったのは王宮の地下にある光の扉です。
扉を抜け、シドと別れたサーニャ。
地下へと続く階段の先にあったのはの七色の光に包まれた部屋です。

サーニャは不思議そうに部屋を見渡す。

サーニャ「ふーん、こんな所があったのね。
      あら、シド様が言っていたのはアレね」

サーニャは透明な羽をパタパタさせながら部屋の奥へ進む。
その先にあるのは空中に浮かぶ水晶球です。

サーニャは水晶に触れます。
すると、水晶に人間界で暴れている魔獣とアズレイが映し出される。

サーニャ「えっ!
      この魔獣ってマジカルフェアリー数人がかりで捕獲した奴じゃない。
      なんでこれが人間界で暴れてるのよ」

サーニャはアズレイが脱獄したときに、一緒に連れて行ったのだと推測します。

サーニャ「こんなの、どうすればいいのよ!!」

シド様の前ではあんな調子のいいことを言いましたが、
本当は面倒で仕方がないのです。

サーニャは水晶の上に乗っかると胡坐をかきます。
しばらくの間、水晶に映る映像を眺めます。

水晶には、魔獣ではなく人間の少年が映される。
少年は小高い丘で、何か道具を広げる。
それは星を見るために持ってきた天文望遠鏡です。

サーニャ「ちょっと何やってるのよ。
      早く逃げなさいよ!!」

サーニャは水晶に向かって大声をあげますが、その声が少年に届くことはありません。
水晶の中の少年は、魔獣の存在に気が付くことなく望遠鏡を組み立てる。

サーニャ「この馬鹿、何なのよ。
      あぁ、もう、しょうがないわね」

サーニャは大きなため息をつくと、水晶の上に立ち上がる。
手を振りかざすと羽が光りだす。
それに呼応するように水晶が七色に光りだす。
光は徐々に大きくなりサーニャを包み込む。
次の瞬間、サーニャの体が水晶の中に引きこまれていくのです。

それは、魔法の国クラリアと人間界をつなぐ星の路。
サーニャは、体をクルクルと回転させながら人間界に向かいます。

◆第一話 「サーニャとリップル」

最近同じ夢を見る。
いるのは真っ暗な世界。
その中で何か巨大なものに追いかけられている。
逃げても逃げても、それはどこまでもついてくる。
もう、ダメだ……。
そう思った瞬間。

赤い髪の少女が現れる。
手にはスティックを持ち、ふわふわの服を着ている。
それはアニメにでてくる魔法少女のようだ。
少女は、こちらに向かって手を伸ばしてくる。

さあ、こっちにきて。

少女はそう言っているようにみえる。
あなたは、その手を掴むために、
最後の力を振り絞ってそれから逃げ出す。

もう少しだ。
そう、あと一歩踏み出せば手を掴める。
その瞬間、世界が光に包まれる。

夢はそこまで。

朝食を食べながら、夢の話を家族にする。
父親は咳払いをしながら新聞に目を通し、夜更かしもほどほどになとつぶやく。
母親は「あらあら」と言いながらパンをトースターに入れ、
息子の成長に戸惑っている。
妹の奈々に至っては、TVに夢中で話を聞いていない。

何か変な空気になったので、あなたは朝食を急いで食べて玄関に向かう。

理香「おはよう!」

玄関を出たところで声を掛けられる。
それは隣の一戸建てに住む幼馴染の高野理香です。
前まではよく一緒に遊んだり登校したりと仲良くしていました。
でも、同じ学校に進学したはずなのに、
最近は何となく距離ができたような気がします。
こうして朝から顔を合わせるのも久しぶりです。

理香「今日は、早いのね。
    せっかくだから一緒に行こうよ」

理香は道路にでてあなたを待ちます。
      
朝の並木道を二人で歩く。
前ならなんともなかったのに、
なぜか今はドキドキとしてしまいます。

理香「結局部活には入らなかったの?」

部活かあ……。
なんと返事をしていいのか、考えこむ。
帰宅部かなと答えようと思いますが、
怒られそうなので口をもごもごさせる。

理香「そうだ!
   今からでも大丈夫だからテニス部に入ろうよ。
   テニス楽しいよ」

理香が、いいことを思いついたという顔で寄ってくる。
夕焼けのグランドで二人でテニスかぁ・・・・・・。
そうしたら、一緒にいる時間が長くなりそうだし、
幼馴染から抜け出すことができるかもしれない。

あなたはそんな、妄想をする。
しかし、それは次の瞬間にあっさりと終りを告げます。
それは、理香の口から南先輩という名前が出たからです。

南先輩、それはテニス部のエースである男子生徒です。
顔もよくて実力がある先輩は、もちろん女生徒からも人気があります。

理香「南先輩は教え方がうまいから、きっと初めてでもすぐうまくなるとおもうよ。
    昔から運動神経はよかったでしょ?」

理香から南先輩の話題がでると、あなたは一気に不機嫌になります。

理香「南先輩って凄いのよ、個人戦で優勝も狙えるだから。
   そんな人に教えてもらったら」

そこで、理科はあなたが黙りこくってることに気がつきます。

理香「どうしたの?」

別にと、答える。

理香「嘘だ、なにか怒ってる」

理香が、あなたの顔をのぞき込んでくる。
不意に理科の可愛い顔が近づいていてきて驚く。
あなたは、どぎまぎしながら顔をそむける。

そのまま二人は気まずい感じになってしまい、
会話もなく学校に到着します。

はあ……馬鹿だ馬鹿だ……。
なんであんな態度とっちゃんたんだろ。
授業中あなたは、朝のことをずっと後悔しています。
そうなってしまった原因、それは先輩への嫉妬。
そして、理香への八つ当たりです。
理香だけはなんとなく南先輩には興味が無いと思っていただけに、
理香の口から先輩の名前がでたことがショックだったのです。

結局その日一日は、朝のことを引きずってしまいグダグダで終わってしましました。
家に帰ったあなたは気分を入れ替えて、天文観測道具を用意します。
何せ、今日は数年に一度しか見られない流星が通るからです。

夜になり晩ご飯を食べ終えたあなたは、自転車に乗ると星がよく見える場所に向かいます。
そこは町から離れたとこにある小高い丘です。
そこですと、町の光から離れているので、星がよく見えるのです。

30分かけてついた丘の上。
丘の周りは森になっていてうっそうとしている。
その中で町の反対側に一カ所だけ見晴らしのいい場所がある。

あなたは、そこに望遠鏡を設置するために三脚を取り出します。
そして鏡筒と接眼レンズを用意しようと鞄に手を伸ばす。

急に周りが一気に明るくなるのがわかります。
それはまるで日中のようです。
あなたは、慌てて空を見上げる。

何が起きているのか、あなたには理解できません。
一瞬流星が地上に向かっているのかと考える、

でも、そんな状況になるようなら大騒ぎしているはずです。
あなたは、動くことも忘れてボケーッと空を見上げたままになってしまう。

流星が向かいの丘に落下する。
すると同時に、大きな金属がぶつかったような音が響く。
丘を囲む森から無数の鳥が夜空に消えていく。
あなたは慌てて、落下した地点を望遠鏡で覗きこむ。

落ちたと思われる地点は、最初は赤く光っている。
最初は山火事かと思ったのですが、すぐに色が青に変わる。
不思議に思っていると、光がさらに黄色に変化する。

明らかに流星の落下ではないことがわかる。
しばらくすると、大きな獣のような鳴き声とともに、
光が大きく、そして強くなっていく。

そして、何か熊と同じぐらいの大きさの生き物へと形を変えていく。
大きな胴体と思われる形から、
シュルシュルと無数の触手が伸びだす。

触手は手当たり次第に、周りにある物をつかみ、
そして胴体の中に取り込んでいく。

最初は木々や岩などでしたが、
しだいに山の生き物を標的にはじめる。

胴体にいろいろな物を取り込むたびに、
体がむくむくと大きくなっていく。

最初は熊ぐらいだったのが、その何倍にも変化していく。



                             続くφ(.. )
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