※この話はエロ無し・CG無しです

一馬がくたびれた顔で家に戻ってきたのは朝の8時をまわってからだった

「ただいま・・・」
「おかえり」

静子はリビングから小走りで玄関にやってくると、どこかホッとした表情で一馬を出迎えた
学校の担任が預かっているとは言え、やはり帰ってくるまでは多少心配だったのだろう

「朝ご飯は?」
「食べて来たからいいや」

「そう、今度先生にお礼言わなきゃね」
「あ、あぁ・・・」

一馬の脳裏に先ほど宮野広美といた時の様子が再生される

関係をもった後の広美はすっかり姉さん女房と言った感じで朝食の用意やアイロンがけ等、一馬の世話を嬉しそうにこなしていた

しかしその全てが一馬にとっては優子を裏切っているようで心に重く負担となってしまう

『抱いた責任は取ってもらう』

広美の言う事は筋が通っており、数日前まで童貞だった一馬にとってその言葉は軽いモノではない
童貞ゆえの誠実さ、女慣れしてない純心さを持つ一馬にとって「責任」の二文字が心を重く沈めていた

今思えば二人っきりになった時の雰囲気に流され手を出してしまった自分が憎い

広美とセックスしてる最中は完全に目の前の広美に溺れていた一馬である
あれだけ優子に愛してると言っておきながらこの体たらく・・・一馬は軽く自己嫌悪を覚えていた

「でもアンタその歳で迷子とはねぇ・・・何で隣町なんかに行った訳?」
「え?あ、あぁ・・・その・・・ちょっとゴムを買いにひとっ走り・・・」

「ゴム?」
「コンドーム」

「あ・・・」

一馬が何のために行動していたのかを察して静子は顔をそらした

「ば、馬鹿ね・・・そんな事してるから・・・」
「あぁ流石に今回は参ったよ・・・」

一馬は疲れた顔で息を吐いた

「もうバカばっかしてないで、少しは勉強もしなさいよ?アンタ学校の課題はちゃんとやってるの?」
「ん?あぁ、大丈夫大丈夫、ちゃんとやってるから」

「本当?いつやってる?夏休み入ってから勉強してるの見てないけど」
「い、いつだっていいだろ?それよりホラ、そろそろパートの時間だろ?俺も部活行かないとな!」

一馬は逃げるようにスポーツバックを肩にひっかけて再び家を飛び出した

その後、いつものように学校の校庭を走り回っていた一馬だったがその顔には少しばかり疲れが残って見えた

昨日もこうして昼間走り回った後に夕方から隣町まで全力で走ったのだ
いくら若くて体力が余ってる一馬でも身体に疲労が残って当然だった

一馬はいつもの半分も走らない内に木陰に腰を下ろした
そこに一馬の友人二人が駆け寄って珍しそうに一馬を見る

「どうした一馬、こんな早くきりあげるって珍しいな」
「夏風邪でもひいたんじゃねーの?」
「・・・いや、昨日ちょっと調子こいてシコりまくっただけだよ」

一馬は自虐的な笑みを浮かべながらヘラヘラと笑った

「新しいエロ本でも買ったか?」
「違うって・・・あ、それよりさ今日この後ヒマだろ?」

「ん?何だ?」
「そろそろ残ってる課題やらねーとって思ってさ・・・」

「おいおいどうした一馬お前、本当に熱でもあんじゃねーの?」
「違うっての!家でおふくろが勉強しろってうるさくてさ・・・それなりの証拠を作っておかないと面倒なんだ」

「あぁ・・・そういう事か、仕方ねーなぁ・・・じゃあやるか?」

こうして午後から友人の家に集まる約束をとりつけ、一馬は優子と一緒に帰路についた
昨日は一緒に歩いただけで楽しかったのに今日はどことなくぎこちない一馬である

それというのも宮野広美の事が頭から離れないからだ
「捨てたら覚悟しろよ・・・」そう言った時の広美の表情が何度も頭の中で再生される

一馬はその表情・・・いや、広美の目にあった色を昔見ている気がしていた
それが頭の隅に引っかかり、何度も広美の表情を思い出し再生している

広美は覚悟しろと脅していたが、その目には焦りや不安も見て取れた
『捨てたら覚悟しろ』というのは『捨てないで』という広美なりのアピールとも受け取れる

『捨てないで・・・あっ!』

そこまで気づいて一馬は思い出した

アレは父親が家から出ていく時、それを見ていた母親静子の目だ
『捨てないで』

あの時母親はその言葉を口に出しては言わなかった
しかしその目は去っていく夫を引き留めようとしていた

だが父親は家を出て行った
あの時の男の背中を一馬は深く記憶している

『同じだ・・・』

男の背中と自分が重なる
今一馬が宮野広美を捨てたらそれはあの男がした事と同じ事ではないか

今朝はそんな父親と同じ過ちをしたくないと心を鬼にして別れようと行動したが、冷静に考えてみればもうこの時点で手遅れなのだ

既に広美とは優子と同じように愛し合ってしまったのだ
一回やってサヨウナラというのはあまりにもヒドイ話である

勢いでとは言え、体も心を許しあった関係になったのに自分の都合だけで次の日一方的に別れ話を切り出すのはあまりに自分勝手が過ぎる

広美に『捨てたら覚悟しろよ』と言われても仕方ない
むしろその程度で済んで良かったと思うべきだ

父親と同じ男になりたくないのであれば広美に見つかった時グズグズしてないで全力で走って逃げるなりすれば良かったのだ
そうすれば広美とは他人のままでいられた

だが今は違う
広美は一馬を受け入れてしまった
そして一馬も広美を愛してしまったのだ

一人の女として初々しく一馬を受け入れ愛し合った時の広美の目
あの目は優子と同じだった
心から惚れた男に向ける女の目

そんな女の心を踏みにじって別れる事など元々一馬には無理な話であった
一馬の心にある童貞だった時の優しさ・・・もといヘタレ心とでも言うべき優しさが一馬にはある

今隣を歩いている優子・・・彼女とは将来を約束した相手だ
その約束を一馬は破る事ができない

広美とこの先何があろうが、一馬にとっての未来の妻は優子以外ありえないのだ
それは広美にとっては残酷な現実以外の何でもない

だが広美はそれでも一馬と別れたくないと言った
時間が経てば心変わりして自分を選んでくれると思ったのかもしれない

だが一馬は学校を卒業したらスグにでも優子と結婚する気なのだ
これも広美におっては残酷な現実である

先にある現実は辛いモノばかり
それでも一馬は広美を捨てる事ができない

『捨てないで』と訴える広美の目
『愛してる』と語る広美の目

優子と付き合いながら広美と別れる事もできない

『このままではあの男と同じだ・・・広美を不幸にしてしまう・・・
いや違う、俺はあの男とは違う、広美を愛した事に嘘はない
優子も広美も愛しているんだ・・・どうすれば・・・』

童貞を失って日が浅い一馬は優しい男だ
愛した女は幸せにしたいと純粋に思っている
童貞特有の男の誠実さを失っていない

だがそれを誠実と言うのは相手が一人に限った時の話だ
今この状況では誠実どころか愛する女を一人に選べない優柔不断で不誠実なヘタレ心とも言える
(かといって愛する女の為に妻も子供もすてた父親が男らしいとも言えないが)

恋愛の出会いと別れ、そうした経験が不足している一馬にとって愛する女を一人選ぶのは困難だった
一方を選べば一方とは別れなければいけない

しかしその別れ方もどうしていいか分からない
どっぷり二股のジレンマにハマった一馬は答えの出ない問題に頭を悩ませていた

そして優子は一馬のそうした変化を敏感に感じ取っていた

「・・・一馬君どうかした?」
「ん?え?何が?」

「何かその・・・考え込んでる感じしたから」
「い、いやそんな事ないって」

そうは言ったものの、優子の前では全てを見透かされている気分だった
広美との関係が一馬の頭をかけめぐり、優子に申し訳ない気持ちが生まれてしまう

「何か悩みがあるなら相談して?」
「い、いや、大丈夫だって」

「・・・」
「あー・・・その・・・」

じっと優子に見つめられると嘘がつけない一馬である
優子は女の勘が働いているのか、その目は何か隠し事しているのが分かってると一馬に語りかけている

とは言え、広美との関係を素直に語る訳にもいかない
どうすべきか一馬は頭の中で言葉を探しながら優子と会話を続けた

「・・・何でも言っていいよ?」
「・・・ま、アレだ、男にもいろいろと特有の悩みがあって非常に言い辛い事が・・・」

「いいから言って」
「・・・簡単に言うとですね」

「うん」
「その・・・昨夜オナニーしすぎて頭がフラフラしてるって事なんだ・・・」

「・・・やだーもー一馬君ってばー!」
「だ、だから言いにくいって言ったじゃないかハハハハ・・・」

『よし!誤魔化せた!』

優子が納得した様子を見せたので一馬は内心ほっとした
とりあえず優子に余計な心配をかけたくない

今も一馬の頭の中は優子と広美、そして静子との関係を今後どうしていくか
その事でいっぱいである

「あーおっかしぃフフ・・・あんまり真剣に悩んでるっぽいから浮気でもしてるのかと思ったじゃない」
「んぐっっっっ!!!!」

笑いながら言う優子の言葉に一馬の心臓が飛び出そうになる
全身から冷たい汗がドバっと溢れ一馬は一瞬頭が真っ白になって言葉に詰まった

「でもそんな訳ないよねー、付き合ったばかりで浮気の心配とか考えすぎだよねぇ」
「ソ、ソウダヨ優子、ソンナ訳ナイジャナイカーハハ・・・」

勤めて平静を装って返事をしながら笑う一馬だがその顔はみっともなく強張りひきつっている

「・・・ねぇ一馬君、そんなに我慢しちゃうならさ・・・してあげよっか?」
「あぁ本当そんな訳・・・ん?今何て?」

「だから・・・エッチしよっか?」
「いや、無理無理、だって場所がないじゃんか」

「一馬君ってお母さんと二人暮しって言ってたよね?」
「あぁそうだよ」

「お母さん昼間パートって言ってたよね」
「そうだよ」

「・・・」
「・・・え?俺の家?今から来る・・・か?」

思わずそうつぶやいた一馬の言葉に優子は嬉しそうに頷いた

This story is to be continued

母さんはセックスを断れないCG担当 黒木 一朗 (敬称略)
HPアドレス http://1st.geocities.jp/kuroki_kazuaki/