畑に、カブが出来ました。
今まで見たこともない、めちゃくちゃ大きなカブです。

「これは、たまげた。規格外で出荷できないけど、折角だから早速引き抜いてみよう」


カブ農家のおじいさんは、ムキムキマッチョなその腕で、カブを引っ張りました。
でも、カブはビクともしません。


「1人じゃダメか」


おじいさんは助っ人を呼ぼうと、持っている携帯電話で近所の人たちに電話をかけました。
でも、ここは過疎の村で限界集落。


『診療所で定期健診中』
『今日はデイケアセンターの日』
『人工透析中につき電話に出られません(留守電メッセージ)』


返ってくる答えは、こんなのばかりでした。


仕方がないので、カブに縄をかけて、トラクターで引っ張ることにしました。
茎の根元をロープで固定して、いざ牽引!
唸りを上げるトラクター。
その駆動輪が空転して、畑を掘りながら砂煙を上げます。
縄には頑丈なワイヤーロープを使いましたが、それが今にも千切れそうです。
でも、カブはビクともしません。


そして、



ぶちっ!!



カブの茎が取れてしまいました。


「やっちゃった」


もう、カブに縄をかける場所はありません。
でも、おじいさんは諦めません。


「よし、引っ張るのが無理なら、掘り出してみよう」


おじいさんは、雪かき用のスコップで、カブを掘り出す作業を始めました。
カブを傷つけないように、丁寧に掘っていきます。
毎年大量の雪を1人で取り除いているおじいさん。
これくらい、屁でもありませんでした。


そうしておじいさんは、カブを掘り出すことに成功しました。


「こりゃ、たまげたな」


穴の底で、カブを見上げるおじいさん。

なんとそのカブは、おじいさんよりもずっと巨大で、アフリカゾウの大人のオスほどもありました。


「これはギネス級の大きさだ。デジカメで撮って、ブログに上げてやろう」


おじいさんがカブをブログに載せてしばらくすると、観光客が村にやってきました。


「どうじゃ、これがわしの自慢のカブじゃ」


おじいさんが得意げに指差すその先には、確かに大きいけれど、水分が抜けて干からびてしまった、残念なカブがあるだけでした。



おしまい。